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  作者: 高壁護
2/7

先輩

「とりあえず、先生に訊いてみようぜ」

岳のやる気が満ち溢れて、部活動でもそれぐらい出せばいいのになと心から思っている。


「でも、どの先生に訊くんだ」

「五年前からいる先生だろ」

「そんなの分からん」

「じゃあ、担任からだな」


職員室に二人で入り、担任を見つける。

「先生、質問したいんですけど」

「なんだ?」

「先生ってこの学校来て何年ですか?」

「七年だけど、それが何だ?」

「七年ってことは、あのこと知ってるんですか?」

「あのことって?」

「五年前に男子生徒が事故死したやつです」

「ま、まぁ、知ってるっちゃ、知ってるな」

「その亡くなった生徒ってどんな人だったんですか

?」

嫌な話であるから、なるべく答えやすいものだけ質問をしようと考えていた。

「ど、どんな人って言われても担任じゃなかったからなぁ・・・」

「その時の担任って、今はいますか?」

「別の高校に赴任したよ」

これ以上訊けば何か探っていると勘付かれそうだった。ここで一旦切り上げることにした。


「結局、収穫はなしって感じだな」

俺がそう言うとそうだなと岳は返して、その場を離れる。五年前の事だから詳しく知ってるとなると、やっぱり同級生の方がそうなんだろうな。

「明後日、先輩が来たときに訊いてみるか」



「あの、先輩」

「あっ、どうも君たちは?」

「野球部二年の沢野(さわの)(しゅう)です」

「同じく二年の深部(ふかべ)(がく)です」

先輩は大学四年生で内定をもらっていて、大学のことや就職活動をテーマに約一時間お話をしてくださった。

「それで何か用かな?」

「あの、先輩って五年前の事故死の事件知ってますよね?」

「・・・知ってるが、今さら何だ?」

「ちょっと興味が湧いてきちゃって、少しだけ調べてるんですけど、亡くなった男子生徒はどんな人だったんですか?」

「ふーん、アイツは酷い奴だったよ」

「酷いというのは?」

「そのままの意味だよ」

「死んだ人にそういう事言うのはどうなんですか」

初めて口を挟んだ岳がもっともな事を言う。

「あまりあの事故には関わりたくないんだ」

「あの、これ連絡先です」

この人はまだ何か知ってると俺の中で確信した。


「あの人どう思った?」

「何か知ってる風ではあったかな」

知ってる風というのはある種「隠してる」という意味でもある。まだ調べたいという欲求が残る。


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