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まず、親友を何とかしよう。

「あの、光也くん。私、学部が違うから大橋くんのこと知らなかったんだけど、いつも違う女の子といるって噂を聞いたの。その、大橋くんて女好きなの?」

「あー、祐司はそういう噂をたてるのが目的なんだよ。あいつのうちは代々医者の家系で、あいつは次男なんだけど、兄貴と弟が優秀でさ。俺からすれば十分頭いいのに、親に認めてもらえないんだよな。まあ、それだけじゃないんだけどさ、家族に対する反発から悪い噂が自分にたつようにしてんの。」


澪ちゃんの言葉に俺は苦笑交じりで答える。実際に何人かは付き合ったことがあるだろうが、噂になった全員と付き合ったわけじゃない。来る者は拒まず去る者は追わずだが、同時期に複数の子と付き合ってはいない。それに、本気で女の子を好きになったことはなさそうだ。それはそれで相手の子に申し訳ないんだが。


それにしても、祐司はこのままだと歳の離れたヒロインを口説くことになるんだよな。もしかして、初恋だからあそこまで暴走するんだろうか。大人が未成年を恋愛対象として行動するのは犯罪になりはしないか?祐司の周りには子供がいないから、俺らが大学生の時に小学生だったと言ってもピンとこないんだろう。実際に年齢の差を実感させれば、口説くのもためらうんじゃないか?


「澪ちゃん、俺、祐司を真也たちに会わせてみるよ。」

「え?急にどうしたの?」

「祐司と真也は10歳離れてるんだ。真也とヒロインは同じ俺の母校の制服を着てたから、同学年かどうかはわからないけど、同じくらいの年齢だと思う。実際にその年齢差に実感が湧いてヒロインを口説くのに躊躇してくれるんじゃないかなって。」

「なるほどね、大橋くんはそういうところをちゃんと気にする人なのね。」

「・・・いや、自分のしたいようにすると思う。年齢差があってもひるまないと思う。」

「な、何もしないよりは、いいんじゃないかしら?」


俺の穴だらけの計画に澪ちゃんは反対しなかった。優しさがイタイ。まあ、あいつ最近悩みがあったり、家族とのことで気分がイラついたりしてるし、弟たちに会って、幸せな気分になるといい。俺の弟、天使だし!気分が浮上すること間違いなしだ!!



・・・・


「何で急に弟と遊んでくれとか言い出したんだ?俺が子供嫌いなの知ってるだろ。」

「お前の将来のためだ。」

「意味がわからん。」

「祐司、真也は可愛いぞ。天使だ。真也と触れ合うことで癒されろ。」

「だから、意味がわからん。光也のブラコンもどんどん酷くなってくな。」


祐司を連れて家に帰ると、真也が出迎えてくれた。今日も天使のような笑顔だ。


「おかえりなさい。お兄ちゃん。」

「ただいま、真也。お兄ちゃんの友達の大橋祐司だよ。一緒に遊んでくれるってさ。」

「おい、俺は承知してないんだけど。」

「奏も来てるの?」

「うん。部屋にいるよ。祐司さん、こんにちは。僕は目黒真也です。よろしくお願いします。」

「ほんとに光也の弟か、随分礼儀正しいな。」

「どういう意味だよ。」


玄関で言い合いをしていると奥から奏が出てきた。今日も表情筋がサボっているな。でも、楽しい気分なのはわかるぞ。


「光也君、おかえりなさい。お邪魔してます。」

「おう、いらっしゃい、奏。ゆっくりしていきなよ。」

「お客様?私飲み物を取りに来たの。お茶でいいかな?お部屋にお客様の分も持っていくね。」

「ああ、いいよ。重いから。俺が持つから。こいつ、俺の友達の大橋祐司って言うんだ。うちに来るの初めてだから、二人で部屋に案内してやってくれる?」

「うん。」

「はーい。」

「ちょっと待て、いいよ、俺は帰るから。」

「祐司、俺の自慢の弟と従姉妹だ。心の洗浄をするにはもってこいだぞ。」

「意味がわからん!」


なんだかんだ言いつつ、前に真也、後ろに奏と挟まれ、渋々2階へ上がっていく祐司。そうだろう、こんな可愛い子たちを振りほどけないだろう。


「祐司さん。お兄ちゃんが強引に連れてきちゃったみたいで、ごめんなさい。」

「祐司さん、私、目黒奏です。よろしくお願いします。光也君、お友達がおうちに来て凄く嬉しいみたいだから、もう少し付き合ってあげてもらえませんか?」

「お前ら、ほんとできた小学生だなあ。」


うん、会話も弾んでそうで何よりだ。そんな声を背後に聞きつつお茶とジュースを持って部屋に戻る。祐司は暴れ盛りの小学生の相手なんか死んでも嫌だとか言ってたが、うちの天使がそんな野蛮なことするはずないだろうに。部屋に入るとトランプゲームで遊ぶことに決まったようだ。


「つ、強いな、真也、奏。俺もババ抜きは結構得意なんだけど、何で勝てないんだ?」

「いいじゃん、祐司。俺には勝つんだから。俺なんか毎回ビリだぞ。」


まあ、二人とも表情読めないしな、真也はいつも天使の笑顔を振りまいてるし、対照的に奏はいつだって無表情だもんな。ババ抜きじゃ結構優位だろ。それにしても、祐司が最近あんまり見ることのなかったいい顔をしている。いい傾向だと思う。計画通り、さすが俺の自慢の弟たち!


「もう一回!」

「祐司お兄ちゃん、違うゲームにしませんか?」

「いや、ババ抜きで!」

「じゃあ、私見てる。」

「いや、奏と真也に勝って1位になりたいから!参加して。」

「お前、小学生相手に必死だな。」

「光也が弱すぎて相手にならないからな。強敵と戦うなんて滅多にないから面白い。」

「悪かったな、弱くて。だけど、俺が参加しなけりゃお前ビリだからな。」

「光也君、その発言はちょっと悲しいよ。」


あんなに文句を言っていたのに、祐司はこの時間を堪能して、また遊びに来ると行って帰っていった。あれ?全然年齢差を感じさせられなかった気がする。真也と奏は精神年齢が高いからなあ。まあ、その辺はいいや。祐司があんなふうに笑うの久々に見られたし。天使たちは癒し効果抜群だな。

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


祐司に澪ちゃんを紹介した。


「お前が彼女とか。こんな奇跡ないから、飽きられないようにしろよ。」

「う、うるさいな。」


<光也不在時>

「えーと、掛川さん。あいつ、ブラコンだし、すっげーピュアッピュアだから、二人の仲進展しづらいと思うんだけど。」

「うん、そんなとこも大好き。私がリードしていくから平気よ。それに弟くんだけじゃなくて大橋くんのことも大事そうよ?」

「そういうのは、口にしてくれなくていいよ。恥ずかしいから。」


・・・・・

「澪ちゃん、祐司はどうだった?」

「それは、心変わりを心配されてるの?」

「ううん。祐司がいい奴だってわかってもらえたかなあと思って。」

「そうね、大橋くんが光也君のお友達なの、よくわかったわ。」

(全く、相思相愛、友達思いすぎて、嫉妬しちゃいそう)




どこに入れていいかわからなかった会話でした。


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