プロローグ
この世には、不思議な事が沢山ある。そんなことは、誰もが知っている。非現実的なことは、必ず貴方の元にも訪れる。非現実的なことがあれば、当然、非人間もいる。異端者というべき存在のことだ。しかし、“生きてる人間は全員異端者”という説もある。確かにそれも間違いではない。人間だって、その気になれば神様にだってなれるのだからね。
さてと。じゃ、本題に入ろう。
皆さん。“逆東京”という場所を知ってますか?時々ね…東京の人が、逆世界に来るんですよ。で、もし行きたいっていうのなら、月蝕の日の深夜0時の電車を乗るといいですよ。ね?簡単でしょ。まぁ……帰って来れる保証はありませんけど…。おや?お客さんですか。では。また後程…。
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「あれ?」
僕は揺れている夜の電車に乗っている。他に乗っている人はいない。その手には、打ちかけのメール画面の携帯電話。時間をチェックしようと、腕時計に目を向けた。深夜の0時。
「ん?そんな時間に電車って走ってたっけ?でも、現に乗ってるし…」
僕は夜間学校で6時から10時までだ。で、学校を出て電車に乗ったのが、10時30分だ。おかしい。どう考えても異常だ。なのにどうして現在の時刻が、深夜の0時なんだ?僕はちょっと首を傾げた。すると、電車が急ブレーキで止まり、僕は変な格好で座席から落ちた。
「な!ぬぁ!?」
思わず意味不明な声を出してしまった。どうやら、終点らしいが、駅名がおかしい。
――逆東京駅――
「い…一体ここは…どこだ?」
おやおや。最近は、知らないで来る人が多くて困りますよ。まったく。説明するのメンドーなんですから…。…ん?おや。彼女も乗車してましたか。これは助かりました。でも、まだ揃っていないようなので、続きはまた今度。