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#8 浄化の光

「なっ――――!?」


 自身が作り出した土の壁を越えたその先、驚きの光景を目の当たりにし、アグレアスは目を見開いた。言葉すら失うほどだ。


「こんなこと望んではいないのでしょう。大丈夫です……あなたを今、苦しめる力から開放します……」


 魔獣の顔に触れ、そう投げかけるノエルは、どこかいつもと雰囲気が違った。どこがどうと、説明できるものではないが、なんとなくの感覚だった。


 ノエルの背中に生えた羽が、バサッと羽ばたきノエルの手元が淡く光を放った。この間、先程まで暴れまわっていた魔獣が、嘘のようにおとなしくなっていた。そして光が収まると、魔獣はそのまま敷地内から出て行ってしまった。






 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





 魔獣の姿が見えなくなって、僕の体から一気に力が抜けた。力の抜けた体は、みるみる落下していく。それをみて慌てて僕を抱きかかえてくれたのは、アグレアスさんだ。彼の腕の中で、僕はうつろげな表情で見上げた。


「アグレアスさん……。僕を……あちらまで、連れて行っては、くれませんか……?」


 そう言って、僕はとある方向を指でさした。その方から、あの魔獣を操っていた力を感じ取れたからだ。もう自力で飛んでいくには無理なほど、僕の体は激しい倦怠感に襲われていた。


 しばらく躊躇していたアグレアスさんだったけど、僕が指し示した方へと飛んでいってくれた。

 近づいていくにつれて、不気味な感じがさらに濃く感じられる。ぼやける視界の中、眼下に広がる多くの破壊された建物たち。そのあちらこちらには、魔獣によって怪我をした騎士たちがいた。


 護衛についてくれていた騎士さんは、無事だろうか。そんなことを思っていると、徐々に目的の場所へとたどり着く。


 そこは中庭の端にある東屋があった。屋根の部分が吹き飛ばされ、もはや原型をとどめてはいない。その瓦礫の下に、黒と紫のうずめいた地割れがあった。


「あそこに……降りていただけますか?」

「かしこまりました」


 その地割れのすぐ傍らに、アグレアスさんは着陸した。アグレアスさんに支えてもらって、ようやく立てた僕はその地割れを見つめる。


 今まで見たことのないものだ。だけどそこにはすごい濃度の闇が渦巻き、溢れ出用としている。


「まさか……敷地内にまで侵食していたとは……」

「これは、なんなのですか?ものすごい闇の気が……」

「これは闇の結晶(クリスタル)です。この世が融合した時に、増幅した闇属性は通常は世界のあちこちに点在しています。ですがこの世界には、それがとても多く密集して存在している地点が何箇所か存在してます。闇属性が多く密集すると、それは大地に侵食し、闇の狭間と呼ばれる、地割れのような形状になります。今目の前にあるのが、闇の狭間ですね」


 つまり、闇属性が濃く存在しているところでは、闇属性は結晶体になり、それが結合して集まっている部分が闇の狭間となる。ということらしい。



闇属性が濃くなる(多く集まる)→一箇所に集まる(闇属性どうし引き合う)→大きくなる(闇の結晶形成)→闇の狭間できる……


闇の狭間は闇属性が結晶化し、それが結合して……というやつの大まかな説明ですが、やっぱりわかりにくいですかね。


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