狙われる倶楽部!?
●二人の男
新宿区中野坂上のとあるビルの一室で二人の男がモニターの画面をじっと見ていた。
その部屋はとても殺風景でモニターの他にはノートパソコンが2台、そのパソコンが乗っているデスクが2台あるだけである。モニターを見ている二人の他にパソコンの前に一人づつ座ってなにやらパソコンをいじっている。また二人の男のずっと後方に壁にもたれて1人の男がいる。その男は室内だというのにサングラスを掛けており、透き通るような色白の男である。一見して冷たさを感じる男だ。
「どう思う?」
二人の男のうち背の高い年配風の男が、もう一人の男に尋ねる。年配風の男はグレーの背広に淡いブルーのネクタイ姿で、役人風である。
「そうですね。まだ、ひよこですが興味深い素材ですね。」
若い男が答えた。若い男のいでたちは薄いグリーンの高級そうなスーツ姿で、自然に切りそろえられた短めの髪でインテリジェンスの匂いがする男である。
「ふむ、というと?」
年配風の男がどの様に興味深いか聞いた。
「はい、このVTRだけではなんとも言えませんが、こういう咄嗟の状況で瞬時に力を発揮できるというところに興味があります。また、先ほど見た警察署での調書の様子からも彼は一人ではない気がします。」
「そうか。では動くかね?」
「はい、彼の身辺にそれとなく力のある者を監視につけましょう。」
「わかった。何か進展があったら知らせてくれたまえ。」
これで今日は終わりだとでも言うように年配の男は部屋の出口のドアに向かう。その時、壁にもたれているサングラスの男を一瞥し、苦虫を噛み潰したような表情を作りながらつぶやいた。
「相変わらず愛想のない男だな。」
二人の男はやはり役人であった。一人、年配の男は内閣府人材能力向上室の室長であった。
そして、もう一人の若い男は文部科学省の非科学研究チームのリーダー・・・役職では係長ということになっている。
二人がモニターで見ていたのは優太が万引き犯の鍵を曲げたシーンであった。防犯カメラに映っていたのを画像処理して鮮明に映し出されていた。その処理をしていたのはパソコンの前にいた技師二人である。
どうやら優太は役人たちの目にとまったらしい。理由はまだ分からないのであるが・・・。




