超能力、学園決戦 其の壱
僕とひかるが校門を入ると、そこは異様な雰囲気だった。
正面に葉月健二が仁王立ちして左右に幾人かの生徒が並んでいる。葉月が下品な笑顔を浮かべて僕に言う。
「なんだ、昨日逃げかえったというから、君の仲間勢ぞろいでやってくるかと思ったのに一人かい。」
健二にはひかるが見えないのだ。ひかるは僕に一つ頷くと呟いた。
「やばいわ。頑張って持ちこたえてね。私はみんなを呼ぶから。」
昨日、僕は改めて瞬にバリアを張ってもらっていた。昨日の様な硬化された髪の毛が深く刺さると危険だとマスターが呼んでくれたのだった。
健二の髪の毛が逆立った。
次の瞬間、校庭中の石が僕めがけて飛んでくる。が、僕の周囲二メートルくらいの所で『ぴたっ』っと制止する。そしてばらばらと落下する。僕周りはちょっとした小石のサークルができた。
健二の表情が見にくくゆがむ。
「ふん! だが髪の毛には弱いんだってな!? 」
健二の隣りの女生徒が歩み出て僕を睨みつける。既に毛が逆立っていて怖い。うう、どうすればいいのだろう。ひかる、早くみんなを呼んでよ~っ!
女生徒が頭を一振りした。髪の毛の針を僕に飛ばしたのだろう。髪の毛は細くて見えなかったけれど、多分そうだと思った。僕に刺さった感じはしないから、瞬の力が効いていてくれるようだ。
少し息苦しい気がする。彼らの方を見ると重力を操るらしい女生徒の顔が紅潮している。僕に負荷をかけているのだろうか。
僕には耐えるだけで何もできないのか? 少しくらいスプーンが曲げられるくらいじゃ何の役にも立たないよー。
不安に押しつぶされそうになった時、誰かが僕の手を引いた。それはひかるだった。ひかるは僕の手を取ると、引っ張るようにして校舎の中に僕を引き入れた。
「何処へ行った!? あいつはテレポーテーションが使えるのか? 」
背後で葉月健二の声が聞こえる。ひかるが僕の手を握ったために彼らには僕が見えなくなったのだ。
「いるわ。私の耳には聞こえる。彼は校舎の中に入ったわ! 」
知らない女生徒の声が聞こえる。きっと健二の仲間なのだろう。
「さすが超聴力のかごめだな。よし! みんな校舎に入れ! ただし気を付けるんだぞ! 」
健二達は僕らのいる校舎に近づいて来る。
健二は幾度も僕への襲撃が失敗しているので慎重になっているようだ。僕らは物音をたてないように息をひそめた。僕らの脇を一人、また一人と通り過ぎて行く。しかし、最後の一人が通り過ぎようとした時、その少女は言った。
「待って! この辺りで息吹が聞こえたわ。この辺りに何かあるわ! 」
その少女はまさしく僕の方を指さしていた。




