超能力生徒に襲われる
南明菜は助け出された。しかし残りの『消えた生徒』はどうしたのか? 優太の周りが騒がしくなる。
●南明菜は家に帰った。マスターやひかる達に、連れ去られた後の出来事は家族達にも話さない方がいいと言い含められた。マスターは南明菜の家族に何らかの被害が及ぶ可能性を危惧したからだ。マスターは文部科学省の者と偽り、明菜の家族に接触した。そこで明菜のプログラムは中止になったと伝え、極秘事項であるので、例え家族にも内容は漏らせない事になっていると告げた。明菜の家族は納得し、明菜から聞き出す事はしなかった。
◆ ◆ ◆ ◆
授業の合間の休み時間、僕はトイレへ向かってたんだ。その時、視線を感じた。その方向を見ると、一人の男子生徒が、じっと見ていたんだ。その男子生徒は、僕の方に寄ってくると、小さい声でこう言った。
「君が望月君か。僕は葉月健二、僕は力を手にれたよ。」
薄気味の悪い笑いを浮かべて去って行ったんだ。僕はその名前を覚えていた。僕らが調べた『消えた生徒』の中の一人だったから。
昼休みに、僕は舞先輩とひかるを訪ねて、この事を話したんだ。それから『消えた生徒』を調べてみた。そしたらね、『消えた生徒』のうち、7人が学校に来ていたんだ。
放課後、いつものように【あげは】で……。
「『消えた生徒』が11人。戻ってきたのが7人、南さんを入れると8人ね。」
「うん、後の3人はどうなってるんだろう? 」
「南君のように、精神に異常をきたしているのかもしれないな。」
「うん、南さんは、マスターが助けてくれたけど、後の人はどうなっちゃうんだろう……。」
「私らには分からないが……。ところで南君はどうなのだ? 」
舞先輩が、南明菜の事を聞いてきた。気になるのだろうと僕は思った。この所、舞先輩は【あげは】に毎日顔を出すんだ。部活を引退して暇らしいし、『あの男』が来てから色々あったせいだと思う。
「明日から学校に出てくるって言ってましたよ。」
「そうか、よかったな。」
舞先輩はなんか嬉しそうだった。
「問題は、帰ってきた7人にもあるわね。優太君にわざわざ接触してくるんだもの。」
ひかるが難しい顔をして言う。そんな顔も絵になるというか、可愛らしい。
「力を手に入れたって言ったのよね? 」
「うん、そう言ってた。」
「何か仕掛けてくるかもしれないな。今まで以上に用心した方がよさそうだな。」
舞先輩の言葉に、僕もひかるも頷く。
マスターは南さんが受けたテストというのは、ESP能力を計るものと言っていた。ESPカードとか言われているんだって。能力のある人達に、特殊な環境で力を目覚めさせたんだろうとも言ってた。彼らは僕らをどうしたいのだろう。僕はそんな事をずっと考えていた。
次の日、登校中に僕はまた視線を感じた。振り向くと、昨日、僕に話しかけてきた『葉月健二』だった。
「やあ、望月君、おはよう! 」
「お、おはよう……。」
僕は戸惑っていた。
「君にも力があるって聞いたよ。どんな力なんだい? 」
「な、なんの事? 」
「ふふふ、とぼけるのかい? …… まあ、いいや。僕の力を見せてあげるよ。」
葉月健二が言った途端、道の石が一斉に僕めがけて飛んできた。
ばちばちと僕の体に当たる。
「いててっ! 何をするんだ! やめてよ! 」
そういう僕に健二は冷ややかな視線を向けていた。
「ふん! 蔵内さんが、なぜ君に興味を持つのか、僕には分からないな。どんな力だか知らないが、気をつけた方がいいぜ。」
健二は吐き捨てるように言うと、先に歩いて行ったんだ。僕の超能力って言っても、スプーンを曲げれるだけなのに。この時、僕はとても怖かった。
それから僕はとぼとぼと学校に入っていった。なぜか体が重い、誰かが負ぶさっているかのように重い。ふと目線を上げると、一人の女生徒が僕を見ていた。その女生徒の仕業だって、すぐに分かったんだ。だって、その女生徒は葉月健二と同じように冷たい目をしていたから……。




