破滅へのカウントダウン
ミラクルストーンⅡの連載完了致しました。
今回からがメインストーリーとなります。
真の主人公が登場して物語は急展開の連続です。
新たなキャラも加わりストーリーは更に盛り上がって行きます。
読み難い個所があれば細目に校正致しますので飽きずに読んでやって下さいませ。
序章
この国の首都にある高層ビルの最上階、
その会議室、そう呼べる部屋の中に4人の男女がテーブルを挟んで向かい合う、
「変革の時は訪れたのだ」
そう発言するのは初老の男、祈るように手を組むその前のテーブルの上には石が置かれている。
無色で多色に煌く小さな石。
「それが全ての争いの終焉になるのか?」
それに答える男は金髪で碧眼の青年、流暢な日本語で話す。そしてテーブルの上に置かれた石は炎のように煌いている。
「それを望んだのは私ではない…」
そう言う黒い肌の若い女性の目の前には夕陽のように煌く石がある。
「終焉の時、それは人間共に訪れるのか?それなら私達には関係ない」
そう言う白人の中年男性の前のテーブル、そこにはワインレッドの石がある。
「久しぶりの6石会議、でもメンバーが足りないね、あのブラッドストーンは今回も不在だし、それにハイストーンも、さらに肝心のダークストーンがいない、今回の議長役であるあんたはあの石をもう手にしていないんだろ?ならばこんな会議は開く意味がないと思うのだが」
そう言って青い瞳を光らす青年、しかし狡猾そうなその瞳を見つめて初老の男は落ち着いた声で、
「ファイヤーストーンそれは違う、会議を開く意味が出来たのだ。それも緊急会議なのだ。だから皆を招集した。それにダークストーン、あんなガラクタはもう必要ない、だから倅にくれてやった。私にはこの最悪の石がある。これが今は最強の石だ。だからこの組織の責任者は今も私だ。この会議を開く権限は今も私にある。それを疑うのなら皆で試してみてもいいんだぞ」
そう言って不敵な笑みを作る石崎喜久雄をじっ見つめてから青年は、
「それならあのシンボルは書き換える必要があるな…」
そう言って壁に飾れた旗を見を見上げる。
5つの赤い石が黒い石を取り囲む、そのマークが描かれた旗を、
「今回の議題は破滅についてだ。これを見ろ」
表示されたモニターには長細い形状の略図、それの進路を示す点線、それが目指しているのはこの星地球、その上にタイムが表示されていてそれが刻一刻と減少している。
「衛星軌道の電子望遠鏡、そこからもたらされた情報だ。槍が動き出した。火星と木星の挟間にあるアステロイドベルト、その小惑星の1つだがそれは特異な形状、そんな鋭角な円錐の形をした小惑星がこの地球を目指して動き出した。それは何かに呼び寄せられるように、さらにその速度は異常に加速している。このままではあと19日後に地球に衝突する。全長500㎞、その巨大天体が衝突するのだ。それもクリスマスイブの夜に、これは何かの皮肉かな?そう人類は滅亡の淵に立たされたのだ。そんな物をを呼んだのは虹色の石、それは最強にも成りうるが最悪にも成るという意思なき石だ。巨大隕石、もしそれが衝突したら我々だってただでは済まないだろう…いや…この惑星の生命は全て死滅する。それに絶望を感じて願っても、もう君たちの石は輝かない、なぜなら全ての絶望を願う者がいるからだ。君たちの絶望もその1つにすぎなくなる…そうやって集められた絶望がこの世界に終焉をもたらすのだ」
淡々と語られる経緯に思わず声を失う一同、破滅の時…それは聞いた事がある。しかしあの男は言い切ったのだ。
その破滅を止めて見せると、
ハイストーン、そう呼んだ男は運命を操れるのだ。それは信じられるべき存在だった。しかし,
「あの地獄の女王がもたらした最悪のシナリオ、それを否定したハイストーンの描いた希望、それは既に損なわれた。奴は運命に抗えきれなかったのだ。そうだ、失敗したのだ。そして奴は無に消滅した。だから私は自らの意思で組織に復帰した。もうこの世界を救うべき者は私とそして君たち以外にいない、だから我がストーンサークルの最高幹部の諸君、Sランクの能力者達よ、最後に君たちに希望を託したい、虹色の石を握る者、そいつを見つけ出して抹殺しろ、なぜなら奴はまだ絶望していないからだ。だがそいつの意思が隕石を呼んだ。最強で最悪の石を手にしたからだ。今はこの破滅を選択するのは奴の自由、この世界をどうするかは奴の思いのままだ。だが予言では終焉はもたらされるとそう聞いた。そんな事を許す事はできない、そうだろ?だから絶望する前に奴を殺せ、そうすれば世界は救われるのだ」
無言でそれを聞く一同、それぞれの頭の中で思惑が交錯する。そして目には光、怪しい赤い光が揺らめいている。
「そいつはこの国にいる。だが正確な場所は示せない、ここから西…方角の限定能力者が無能だったからな…赤石の血を引く者がここにいれば簡単なんだが…だがキーワードは入手した。それは天使、だから天使を目指せ!その近くに奴が現れる。そして殺すのだ。必ず。その姿を、その天使の姿が君たちを導く、それが我々の最後の希望だ!」
そう言い放つ喜久雄の顔が愉悦に歪む、
しかし立ちあがり出口に向かう3人は1人も振り向かず、そしてもうその表情を見る事はない、
3人の後ろ姿をほくそ笑んで見つめる魔王、そうだ。その全ては自分の手の中で踊ればいい、
「また力が得られるのだ。それは素晴らしい」
煌めく多色で無色の石を握りしめ、そして魔王は1人笑う、
苦しみを与えれば力が得られる。その苦しみが大きなそして多くの絶望ならさらに強い力を、そう全てを支配して全てに苦しみを与えれば、その苦しみが真の絶望なら、そして全ての者に真の絶望を与えれば神には成れずとも魔神にならなれるのだ。
魔王はほくそ笑んで石を撫ぜる、
数万人の絶望の感情を封じ込めた石、あのハイストーンの演出してきた絶望、その感情をこの石に封じ込めたのだ。人の力で、だからその石は求めるのだ。痛みを、苦しみを、悲しみを、寂しさを、憎しみを、怒りを、そんな全ての負の感情を、全ての者にそれをもたらしたいと、そう願うのだ。
この石の力が大きくなれば終焉の刻、その訪れは確実となる。
そして暗黒の意思の力で自分の理想の世界を創る事が出来るのだ。
そんな苦しむ者達が力を与えてくれるのなら、そして全ての者が絶望するのなら……