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[未完]荀公達の憂鬱~真・恋姫†無双  作者: 夏蘭
公達くんの幼少期
5/20

緩やかに日常は崩壊していく

引きこもり生活にも陰りが見え始めます。

 喪が明けて、俺は八歳になっていました。


 叔父さんが酔った勢いで刃物を振り回し、桂花に当たりかけて、とっさに庇った結果、俺の耳が傷つくという事件もありました。史実通り、叔父さんには伏せるという話になったので、それを理由に引きこもり生活は無理やり続けています。

 ……といっても、邸宅から出ないだけの話で。荀家の邸宅は、現代の一般的な小学校ぐらいの広さがあるので、運動するにも何も困らないのです。中庭を走り回るだけで、十分な走り込みができるぐらいに。

 少年期だからなのか、ある程度鍛えても筋肉隆々になることもなく。義母上も最近は俺の行動を咎めずに、『額から流れる夏蘭ちゃんの汗をペロペロしたいわ……』と、おっと。いつも通りだった。過剰なスキンシップと思い込むようにしてから、既に三年余り。


 発育も順調に進み、身長4寸(120cm)程度となり、さらに鍛錬の成果が出始めて、行き過ぎる行為には少しずつ抵抗も出来る様になってきているが、義母上はどこぞからか関節技を学んできて、日々の戦いは一段高い極みに届こうとしている。……どうしてこうなった。


 俺の成長が嬉しいと言うのなら、諦めてくれるのが一番嬉しいんですがね、義母上。


 こんな変態の義母上も対外的、突き詰めて言えば、俺以外には相も変わらず、見事なまでに荀家の長を務め続け、義父との間に新たな子供……荀甚じゅんしんが産まれている。正史では、荀或じゅんいくの兄弟、袁紹の参謀になった人物だな。まぁ、夫婦仲は良好なわけだ。


「夫への愛と夏蘭への愛は別腹なのよ……!」


「うん、義母上。そろそろ、文若もその意味がほんのりと判るとも限らないから自重して下さい」


「なによー。その辺りは夏蘭がちゃんと教えてくれればいいじゃないー」


 二人の子供を産んだのに、年頃の娘さんと変わらぬような体型、風貌を保ち続けているこの人は、別の意味でも人外の域だと切に思う。

 というか、俺の前では完全に精神年齢が子供に近いものに戻っているし。日々のストレスを発散しつつ、俺から精気を巻き上げている錯覚すら覚える。触れるだけで、道教で言う『氣』って循環するんだっけか?


「第一、桂花も貴方にべったりじゃない」


「兄として慕ってくれているようですね、ありがたいことだと思いますよ」


 義母の真似をして、桂花が俺に日中はほぼべったりくっついている状態になってからは一年ぐらいか。

影響受けるだろうなとは思っていたが、やっぱりな、という結末である。懐かれるのは嬉しいものだし、俺からすると娘が出来たような感覚で、愛らしく感じているのだが、さて、いつ頃彼女本来のツンが出ることやら……。


「……ねぇ、夏蘭」


「なんでしょう、義母上」


「以前から思っていたの。桂花は聡い子だけど、すごく気難しい所がある。だけど、貴方は少なくともあの娘に慕われているし、既に真名も許された」


「……真名の本当の意味合いをまだ、文若は判っていないでしょう。だから、私も実際に呼びはしませんし、私も自分の真名を許していない。その辺りは少しずつ、理解してくれればと思っています」


 本人には、文若と呼ぶのが当たり前になっているから、と説明はしている。ただ、彼女自身は納得はしていないし、今後の彼女の成長に合わせて、対応を一歩間違えると、どこぞの種馬君みたく日々罵倒される立場になるのは想像に難くない。


「そう。その物言いもそうなのよね。貴方の前では、私は子供に戻る感があるし、それを自覚している。

それを問題なく受け入れてくれる貴方を知っている。……ただね、貴方はまだ八歳の少年。五歳児の頃には、今の雰囲気や話し方が完成されていたわね。ただ、それはとても異常であるということを自覚している?」


 喪中とか、叔父さんに気取られないようにとか、色々理由をつけて、引きこもり万歳だったから、基本会話を交わす相手も、義母上とか、本当に一部の人に限っていたこともあり、全く子供っぽい振る舞いはせずにきたからなぁ。屋敷の使用人の人達でも、会話をしたことのある人自体が殆どいないこの事実。

 まぁ、いずれ問われるとは思っていたけど。屋敷を出て行くのは意外に早くなりそうだ。


 ただ……泣きそうな声色で、問いかけるのは何故なのですか、義母上。

珍しく母親モードの荀昆さん。


**********


荀甚じゅんしん荀或じゅんいくは当て字です。

機種依存文字になるから、文字化けしてしまう為ですね。

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