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神様モドキの異世界旅行  作者: ほえほえ
蹴り出された元オタク
1/40

1・振り返ってみればなんともはや

* ち う い *


作者は二次創作にも夢小説にも手の出した事がある腐女子です。

よってソッチ系な雰囲気が色濃く出ます。

そして自己満足の気配がそこかしこから沸き立ってます。

「あ、ダメだ」と思った方はどうかスッパリバックブラウザないしウインドウを閉じて忘却して下さいませ。




「……どうしてこうなった。」


 頭に浮かぶのはコレだけだ。

 いやいやどーゆー経緯でこーなったかは不本意だけども理解はしたつもりだし提案を断れば世界が危ないしでもソレは向こうの言い分でホントのとこはどーなのか怪しいんだけどさけど向こうがわざわざそんな嘘を吐く理由なんて無いしだってソレならあたしを助けるなんてソレこそわざわざな手間も多手間になるんだからでもねうん。


「…………どうしてこうなった。」


 ボー然。

 そんな感じで呟いたあたしの目には。

 手鏡に映る、これまたボー然とした顔の超絶美青年。


「………………どうしてこうなった。」


 あたしは、ついさっきまでの事を脳内で引っくり返した。




 ~・~・~・~・~




 目が覚めたら真っ白でした。まる。

 ……イヤあたしの頭の中がじゃないよ。周りが、だよ。


 右見ても左見ても、前も後もついでに上も下も何もない。

 真っ白な空間。


 そして目の前にいたのは。

「お。目ぇ覚めたか」

 色白金髪紅いカラコンの、どっからどう見てもギャル男な美青年。


「…………ドチラサマ?」

「俺か?俺は神様。」

 ……………………頭大丈夫かコイ

「失敬なヤツだな俺は至って心身ともに正常だ」


 おっひょう!?

 ちょっと待てもしかして今あたしの考え読まれたのか!?


「そりゃ神様ですから。思考読むなんて朝飯前?」


 いーやーー!!プライバシーのしーんーがーいー!!

 つか何でそんな事出来るのこのにーちゃん!?


「にーちゃん違ぇ神様だっての」

「………………また読まれた………………」


 ………………ま、イイや。

 こんなのどーせ夢だ。取り敢えずこのギャル男が自称神様だって百歩譲って納得するとして。


「お前ホントに失礼なヤツだな。自称じゃねぇし百歩も譲るな。ソレに夢じゃねぇって。そりゃ現実逃避したいのは解るけどよ」

「だから勝手に人の考え読まないで。つかその(自称)神様が何でココに。てゆーかココどこ。」

「あれ。お前覚えてねぇのか」

「…………何を」

「お前原付で走ってる途中でスリップして対向車線上にすっ転んでトラックに轢かれて即死したんだよ。ちなみにココはあの世とこの世の境目な」


 ――――頭が真っ白になる、ってのは。

 こーゆー時にこそ、ドンピシャな表現なんだろう。


「………………………………は?」

 思わず間抜けた声が漏れても仕方ないと思う。

 まぢですか?てな具合に。

「おおまぢです。」

 しかも真面目な顔で返答返ってきた!

「え、まぢ?本気と書いてまぢと読む、あのまぢ?」

「おう」


 いーやーあ!!即死!?あの世とこの世の境目!?

 しかも何そんな運の無いアホの子みたいな死因!?


「アホも何も事実だし。つか突っ込むトコはソコなのか」

 当り前だよ行かず後家のまんま60前後で寂しく孤独死は想定してたけどまさか事故で死ぬとは思わんかった!!あたし免許証ゴールドなのに!!

 つかまた考え読んだなっっ!!

「夢の欠片もねぇ想定だな。ソレに読んでんじゃねぇお前の心の声がデカ過ぎて聞こえんだ。仕方ねぇだろが」


 うっさい結婚なんて人生の墓場さ。

 家庭に縛られるくらいなら、1人寂しくても自分の好きなよーに生きてくさ。

 つかあたしの所為か、所為なのか。心の声ってどーやってちっさくするんだ。


「……はぁ。まあ、本人が納得してんならいーんだけどよ。あと心の声は強く思わなきゃデカくならねぇから。つっても俺神様だからどんな大きさの声でも拾っちまうけど」

 …………ちっさくしても意味ないやん。


 まあ良い。ソレは諦めよう。

 てゆーか。


「あたし死んでココがあの世とこの世の境目って事は、オタク死神様の類?あたし迎えに来たの?」

「いんや管理者。取り敢えず陽とでも名乗っとくわ。管理者にゃ本来名前なんざねーからな。コレでも世界意志を遂行する、神の中でも最上位に位置してる……って信じてねぇだろお前」

「いえいえそんな事ゴザイマセン。」


 まさかこんな今時のギャル男っぽいのが、最上位の神様なんて世の全ての神様崇めてる人達に謝れ、なんてこれっぽちも思ってないよ?

「…………」

 あ。沈黙した。


「まいーや……つかお前死んだってのにふつーだなー。もっとこー、混乱とかしねーの?」

「混乱?何で?」

 だってあたし死んだのに。

「いやうん確かに死んでっけど。ふつーイキナリはいお前死にましたー、て言われたら何で!?とか死にたくなぃい!!とか喚かねぇ?」

「……うーん。何で、つってもねぇ」


 そりゃ通り魔とかに襲われてオダブツ、て原因だったら何であたしが!?ってなるけど。

 でも老衰とか不治の病とか自然災害とか事故なら仕方ないってゆーか。

 ソレにもー死んじゃったのに今更死にたくないー!!って喚いても、ねぇ?


「……はー。さばさばしてんのな、お前」

「そんな事ないよもーすっごい未練たらっ!!たら!!だよ?」


 うんホントに。

 主にあのゲームクリアしてないとかあのマンガ終わってないとか。

 でも死んじゃった以上は泣き喚こうが暴れ回ろうが死んだままっしょ?


「まあそーだな。死んだモンを生き返らせるなんざ神でもやっちゃいけねぇ禁忌だかんな」

「あ。禁忌なんだ。」

 そりゃそーよね。

 まあそんなワケで、混乱も喚くのもするだけ無駄なら別にやんなくてもいんじゃね?って思ってる。

「確かに。」

「うん。んで?なんでその管理者ってのがこんなトコにいんの?」


 ふつー、死んだ魂を回収するのって死神様のお仕事よね?死神がホントにいるのかどうかは知らないけど。

「ああ、いや。お前捕まえに来た」

「………………はい?」

「だから。お前捕まえに来た」

「待て待て待て待てちょっと待てい。」


 あたしコレでも世間一般ふつーのおばちゃんよ?

 大量虐殺者でも猟奇殺人者でもないよ?

 神様より偉い人がわざわざ捕まえに来る様な事なんて生きてた時なんっもしてないよ?


「ああ、生前の事で捕まえに来たんじゃねぇ」

「じゃナニさ。」


 言っちゃ悪いけど死んでからも何もしてないよ?

 だってついさっき起きて(?)自分死んだって知ったばかりなんだし!!


「まあな。死んでから何かしたワケでもねぇ。問題なんは、お前の死に方なんよ」

「…………はい?死に方って、すっ転んだ上にトラックに轢かれて、っていう?」

「そうそ」

「ソレのドコが問題?」


 そりゃあたしも何て運の無い、て思うけども。

 けどソレだけっしょ?

 ほんっと笑えんコントとかマンガみたいな死に方だけど、あり得無くもないっしょ?


「いや、その笑えんコントみたいなんが、原因なんよ」

「だから何で。」

「だってお前、ホントならアソコで死ぬハズじゃなかったから」


 ………………………………頭が真っ白ぱーとつー。


「………………………………え?」

「だから、お前はアソコで死ぬハズじゃなかったんだ。トラックに轢かれるハズじゃなかった。―――ソレ以前に、スリップして対向車線上にすっ転ぶ、ハズじゃなかったんだよ」


 …………な、に?

 この人、じゃない神様。今、一体何を言ってんの?


「命にゃ大体道筋がある。どうやって生まれて、どうやって生きて、どうやって死ぬか、だーいたい決まってんだ。お前はホントなら、数年後に結婚して子供ぽぽんと3人産んで、60前後で病死、するハズだったんだ。けど――――間が悪いっつーか何つーか。丁度ちょっとしたトラブルがあってな。本来アソコにいないハズのモンがアソコにいて、その所為でお前は絵に描いた様な間抜けな事故で死んだんだよ」


 え?は?え?

「…………ナニそれ?」

 トラブル?

 本来アソコにいないハズのモノ?

 ナニそれ?何なのそれ?

 っじゃあ何か?あたしが死んだのは間違いだったって事?

 ホントに読んで字の如く死に損ってワケ!?!?


「そーゆーこった」

「~~~~っっっ!!」


 何だソレ何だソレ何だソレ!!

 どーゆー事よそんなアホらしいトラブル何で死ぬハズじゃなかったのにあたし死んでんのよ!?


「ソレは私からお話します」

「ふぇうぉあ!?」


 ダレ!?

 つかどっから出てきた!?

 ってあたしの背後!?何時の間に!?!?

「いや、ソイツお前の後ろにずっといたぞ?」

 えっまじでっ?


 まぢまぢ見てみたのは1人の青年。何だかコスプレっぽい民族衣装にも見える。そんな服を着た、紫の髪と目をした。

 その人は、あたしを見てにっこり微笑む。

「はい、まじです。――――まあソレはさておき、貴女が死んでしまったホントの原因ですが。実は貴女の乗ってた原付に、アヤカシがイタズラしたからです」


 あやかしっ?しかもイタズラっ!?!?

 何でそんなんがいんのつかほんとーにいたのそんなんが!?この近代技術わんさかな時代に!?

「や。ホントならいねぇ。――――ハズ、なんだけどな。コレが、さっき俺の言ったトラブル、だ」

「……ほえ?」


 コレ?トラブル?アヤカシがいる事が?

「ああ。俺の管理する世界、というか地球上に人外の類は、まあ少しくらいは存在してるっちゃしてるが、何せ数が少なすぎる上に人間って種族の厄介さを知ってるからな。人の住処にはぜってぇ出てこねぇハズなんだよ」

 …………じゃあなんであたしはイタズラされたのさ?

「ソレはですね。貴女にイタズラしたのは私が管理する世界のアヤカシだからです」

 ………………は?


「あ。ソイツコッチの世界のヤツじゃねぇから。他の界、所謂異世界の管理者だ」

「はい。異世界の管理者、一応サプレスとでも名乗っておきますね。私の世界にも人間という種はいましたが、ちょっと昔に滅んでいます。その代わり、貴女の言うトコロの悪魔とか鬼とか物の怪とかいうモノが、未だにコチラの世界で言うトコロの戦国乱世を繰り広げてます」

 ……………………うわぉ。

 妖怪大決戦みたいなモンですか、もしかして。


 てゆーか、ソレとコレとどーゆーご関係が?

「はい。実はその戦乱の最中にですね、ドコぞの阿呆と馬鹿が途轍もなく大きな力と力をぶつけ合ってくれやがりまして。そのお陰で次元が歪んでしまったんです。まあさっさと修正させて頂きましたがね」

 はあ。

「で。さっさと修正はしたんだがよ。その歪みにゃ、実は巻き込まれた魑魅魍魎共がいてな、他の世界に跳んじまったんだと」


 …………えー、と。

 ソレって、つまり?


「貴女に悪戯したのは、その時他世界に飛んでしまったアヤカシです」

 ………………うーわーあ。

 コレまたスケールでっかい話になってきたね。

「…………ソレだけ、ですか?」

 んえ?何が?

「貴女が死んだのは、私の世界のアヤカシの所為なんですよ?つまりは、世界を管理しきれなかった私の所為でもあるんです」


 いやいやいやいや。

「アンタん所為じゃないっしょソレ。むしろそのアホとバカの所為っしょ。しかもそのアホとバカにしても、ワザと、ってワケじゃなかったんっしょ」

 つまりは事故?っしょ?

「……まあ、その通りなんですが……」

「だったらあたしがアンタに言う事はなんもないさ」


 車は急に止まれないってゆーし。

 まあ、そのアヤカシには一言どころかがっつり恨み事言った上にぎったんぎったんのめためたにしてすぺぺぺいってしたいけど。


「…………何と言うか…………」

 ん?何?

「…………ホンットーに、さばさばしてますね、貴女」

「だな」

「や、だって。死んでからそんな事言われても」


 ギャル男がさっきも言ってたじゃないか。

 死んだモノを生き返らせるなんざ神でもやっちゃいけない禁忌だって。

 だったら、今更ぎゃーぎゃー喚いても、あたしは元に、戻らない。

 ――――…………生き、返れないんだ。


「て、ゆーか。ソレが何で巡り巡ってあたし捕まえるって事になったの?」

 むしろ今後の問題に取り組むべきでせう。

 ……や、死んでるのに今後も何もないんだろーけど。

「ソレはさっきも言っただろ。お前が死んじまったからだよ」

「や。だから」

 何で死んじゃったからって捕まえるに?


「お前の死が歪みになるからだ」


 …………は?

 思わず顎がカックン、てしそうになった。何故だ。何故そんなモノにあたしがなる。


「お前が死ぬのはまだまだ先だった。数年程度の誤差なら修正も出来るが、30年近く開きがあるとその修正もできねぇ。だから今、お前をあの世に受け入れる事ができねんだよ。んでもって、あの世に受け入れられなけりゃ転生もできねぇ。かと言って生き返らせるなんざ言語道断。さっきも言ったが死を覆す事は神でもしちゃならねぇ禁忌だ。オマケに放置もできねぇ。お前は異界の要素と接触しちまった。なのに放置なんて、んな事したら歪みがどんどん広がっちまうんだ」


 …………じゃあ。

 じゃあ、あたしは。

 あたしはコレから先、どーなんの?


「――――『貴女』を消させてもらいます」

「…………は、い?」


 ヤサ男の静かな言葉は、理解するのにしばらくかかった。

 ちょっと待て。すっごい物騒な単語だったぞ。

 ――――あたしを、『消す』?


「ああ。お前が存在していた事を消して、お前が死んだ事実を無かった事にする。コレから生まれてどんどん広がってく歪みより、ちっと骨だがソッチの方が確実安全なんだ、世界にとっては。生まれた事実も無くなっちまうが、何も無いトコに歪みなんざできねぇからな」

「………………そ、れって」


 ざぁ、っと血の気が引く思いがした。

 ソレって、あたしに、死ね、って事?

 自我とか、心とか、魂、とか。そーゆー、あたしがあたしである為の元をひとつ残らず消して?

 あたしに、何も残さず、文字通り消滅しろ、って?

 ――――そういう、事なの?


「ええ、その通りです」


 ――――――っ嫌だ!!

 何でっ、何であたしが!!

 なんで!?

 なんでソコまでされないといけないの!?!?


「…………ソコまでしねぇと、世界が崩壊するかもしんねぇんだよ」

「――――――っっ!?」


 息を、呑むしかなかった。

 崩壊って。世界、世界が、崩壊?

 何で、そんな大事になるの。


「お前の歪みは、ソコまでの危険性を孕んでんだ。納得しろとは言わねぇ。けど『お前』には消えてもらう」


 バッサリ。まさしく一刀両断。希望のキの字も見当たらない。なんて理不尽。

 コレは、コレは怒っても良いハズだ。あたしにはその権利がある。

 ――――だけど怒れないのは。あたしがいる所為で世界が崩壊するかもしれない、なんて。イキナリずしんと重くのしかかってきた言葉の、所為か。


 消滅。ソレはどんなのだ。怖いのか。痛いのか辛いのか。ギャル男は転生って言葉を出した。死んでも生まれ変わるんならまだ良い。けどソレすら出来ないってあんまりじゃないのか。

 嫌だ、消えたくない。でもあたしがいたら崩壊する。何で。嫌だいやだイヤだどっちも嫌だ。


 ぐるぐる。思考が渦巻く。何であたしが。何で。どうしてこんな事に。何でなんでナンデ――――


「まあ、物事の捉え方等は少々変わるでしょうが。表面上に変化はあまり出ないと思うので、安心して下さい」

「………………………………は?」


 ニコヤカ~に。言われた言葉に目が点になった。

 はい?ソレって、どーゆー?


「つーワケで。どんな力が欲しいよ?今なら大出血サービスで3つまで特典希望聞いてやってもいーぞ?」

「ああ、でも私の『加護』だと私の特色も出てしまいますけどソコはご了承下さいね?」

「あー、確かに出そうだな。羽根とか。俺の魔眼の特色も出るんだろーなぁ」

「え、ちょ、え?え?え?」


 ま、待って。ねえちょっと待って?

 カゴって何。どんなんになりたいって?

 一体なんのお話デスカ?


「ん?お前を消す話だよ」

 いやだから。

「あれ、もしかして文字通り『消滅』されると思ってました?」

 え。違うの?

「いやいやいや。いくら何でもソレはしねぇって。例え事故とはいえ、サプレスはアヤカシが何かする前に自分の界に戻さなきゃなんなかったのに、ソレができんかったし。俺も俺で何か影響出る前に捕縛なり何なり手ぇ打っとかなきゃなんなかったのに、間に合わずにお前っていう被害が出ちまったんだから」

「ですので、私と陽から『加護』、まあ力の一部を貴女に受け取ってもらいます。何故なら、ただ貴女を私達の力だけで変質させるだけでは、この世界の『貴女』という存在は消せても、貴女という異分子が残ってしまって世界が歪む可能性があるからです。だから私達の力の一部を取り込んでもらう事で、この世界の理が及ばない貴女になってもらうんです」


 …………えぇぇえええ?

 あたしに、ご加護?オタク等の?

 なにソレおいしいの??


「さあ?管理者の力の一部を『加護』として取り込んでもらうから、階梯やらは神位並にグンと上がるだろうが。だからってホントに神になるワケじゃねぇしベースは人間だ。そんな損にはなんねぇと思うぜ?」


 …………か、神様並って…………

 あたしとしては、ふっつー(強調)、の人間のままでいたいんだけど……


「ソレは無理ですね。貴女の死は、本来他世界に干渉する権限を持たないモノによって引き起こされたモノ。貴女を只人のままに残すという事は、歪みが起こる危険性を孕むだけでなく、他世界のモノと接触してしまったが故に、ふたつの世界が混ざり合ってしまう接点になるかもしれないんです。ですので貴女にはココできっぱり世界意志から離れて貰う為に、世界の干渉を受けない私達管理者と同等の力を少しでも持って頂かないといけないのですよ」


 …………やー。なんかワケ分かんなくなってきた…………

「つまりお前に拒否権は無えって事だ」

 ………………えー。

「えー、じゃねぇ。今回の事はそんだけ大事なんだ。お前も潔く諦めろ」

 …………うー。でーもーなーあ。

「……はぁ、仕方ないですね。そんなにイヤでしたらもうひとつの手を使わせて頂きます」

 ん?なになに?

 もうひとつの手?

「なんか他にも手があんの?」


 よっしゃバッチ来い、とサプレス(仮)に向き直った。

 そしたら、なんだかすっごくイイ笑顔。

 ……………………あ。何だかヤな予感。


「ええ――――説明して納得してもらった上で変わって頂くなんてまだるっこしい事はせず、さくっと実力行使させて頂いて事後に承諾して頂きます」

「だな。もーメンドクセーしソレでいっか」

 へ?――――ちょ、ま!?

「待ちません」

 って何であたし頭鷲掴みされてんの!?がしっって鷲掴みされてんの!?

 ちょ!!待って待って顔近――――!?


 ぶっちゅうぅぅうううう!!

 ふぐっっ!?!?

 むーーーーっっ!?んむーーーーっっ!!

 ごっくんっっ。

 きゅぽんっ。ぺいっ。


「はい私の方は終わりですお疲れ様でした」

「んじゃ次俺なー」


 ――――っっぜーはーぜーはー。

 …………な、何だ何だったんだ今の一体何でイキナリまうすとうまうす…………

 って!?何オタク何その手!?なんで指わきわき!?

「問答無用!!」


 がしっ!!ぶっちゅうぅぅうううう!!

 むぐぅうっっ!?!?

 ぐむーーーーっっ!?うんむむむーーーーっっ!!

 ごっくんっっ。

 きゅぽんっ。ぺいっ。


「うし。コッチも終わりだ」


 …………うっうっうっ…………

 なんか飲まされた……ごっくんしちゃったよあたし……

 ……待ってって言ったのに……言ったのに……

 ……しかもなんでまうすとうまうす……


「あ。早速馴染んできましたよ。羽根が生えてきました」

「………………ふえ?ってぎゃーナニこれナニこれナニこれーーーーっっ!?!?」


 感心した声に背中を見てみたら。

 ソコには人に生えるハズの無いモノが!!


「何って、さっき飲ませた私達の力の一部が貴女の魂に溶け込んだ証拠みたいなものですよ……ふむ。無色透明ひふみの……22枚ですか。コレはかなり上位の階梯にまで上がりましたねぇ。エーテルの総量だけ見れば私より上行ってますよ」

「おー、そーだなー」

「はぃい!?じょうい!?今上位って言った!?ねえ言った!?」

「おう。俺等の属神ポジションに納まるかと思いきや、世界の一柱任せても良いくらいに上がった。お前の元の魂がそーゆー性質だったんだろーなぁ。喜べ、レアだぞ?」

「両眼も変わりましたね。コレは……ああ、朱金と青銀ですか。コレまた随分な魔眼引き当てましたねー」

「はぃい!?!?しかも魔眼!?魔眼って言った!?ねえ言った!?」

「おう。どっちも魔眼の一種だ。氣の流れを視る朱金と、魔の流れが視える青銀。しかも視えるだけじゃなく任意で解析、干渉、操作まで出来る。コレまたレアもんだな」

「………………そんなレアもんいらんわーーーーっっ!!」


 コレじゃあたしホントに人間やめちゃいました、てへvvじゃないかーーーーっっ!!

 そりゃあ若い頃はチート貰って異世界トリップ黄金ぱたーんとか良く妄想してたけど!!

 つか未だに自分でドリー夢書いてるけども!!

「今軽くオタク宣言したな」

「ええ、しましたね」

 うっさいオタクがそーそー真人間に戻れるか!!


「つか、ちょ、ナニこれ何とかしてよねえちょっと!?」

 ばさばさばさ。

 感情に連動してるんだろう、慌てたあたしの至る所に生えた羽が動く。


「あ、その羽根肉体の一部というより貴女から漏れた魔力やら霊力やら氣力やらが実体化しただけなので。力が身体の内部を循環するイメージをすれば簡単に消えます。だからまず落ち着いて下さいね?」

「……お、おつちけーおつちけー。」


 こーゆー時はひっひっふー。ひっひっふー……って違う!!マズは落ち着くのよあたくし!!

 落ち着いてー。身体ん中ぐるぐるー。ぐるぐるー……あ。ホントだ消えた。

 スゴイよあたしやっぱりアンタはやればできる子!!


「や。子って年でもねーだろ」

 うっさい。…………つか、コレだけ?

 いやコレだけでもじゅーぶんブットビだけど。

 なんか、羽根生えて目の色変わった以外なんも変わりがないよーな……いやソレでもじゅーぶん人外だけど。


「そりゃ、今は取り込んですぐだからな。完全に混ざり合って馴染むまでにゃまだ掛かるだろうよ」

「……いえ、如何やら彼女、もう既に完全に馴染んだ様ですよ」

 …………ほへ?

「ああ?マジでか。お前ホンット、染まり易い魂してんなー」

「いえ、と、いうより此れは……」

「んあ?……あー、苗床、か?」

「の、様ですね……ああ、其れで魔眼もこの2種なんですね」


 いやいやいやいや。

 ナニ2人だけで納得してんの。


「いやー、サスガ、オタクの根性はすげーなー、と」

 …………はい?

 どーゆー意味さ。

「まあまあ、あまり気にせず」

 いやムリっす。その含み笑いすっげ気になるっす。

「いやいや。ホンット気にするホドの事じゃねーって。つかそろそろ先に進ませてくれ。俺もそんなヒマなワケじゃねぇんだから」

「ですね。私も陽の界に落ちてしまった者達の回収は終わりましたが、他の界がまだなので色々忙しいですし」


 …………え。

 サラッと言われたセリフに固まりましたよ、ええ。


「まだ回収終わってないの?」

 なのにだいじょぶなのあたしなんかにかまってて?

 もしかしたらあたしみたくあるハズのない事故とかで死んじゃったりする人とか、出てくるんじゃないの?


「ソレは大丈夫です。取り敢えず他の管理者達への先触れは終わらせてますし。陽の界の様に、ある程度成熟していると制約や縛りも厳しいんですが、私の界はまだ若いので、何かしでかしそうなら最悪消滅させてしまっても大丈夫だと許可も出してますし」

「被害に関しても、取り敢えず現時点で判明してんのお前だけだからよ」

「ええっっ!?」

 あたしだけ!?もしかしてあたしホンットに運悪いの!?

「悪ぃ。トコトン悪ぃ。犬に噛まれるどころか宝くじの1等賞に当たるよりも確率低い」

「だからこそ私達が出張ってきたんです。あまりにも貴女が不憫で」

「………………へう。」


 へ、ヘコむ……


「納得したか?ならさくさく行くぞ?つか逝け?」

「いやいやいやいや待って待って待って下さい!?」


 思わず突っ込んだ。

 でも仕方ないと思うんだ、うん。

 だってさ。


「んあ?」

「何です?」


 だってナニその逝けって!?字違わない!?


「いや、ある意味正しい。なあ?」

「ですね」


 だから何で!?

 ってゆーかイキナリ出てきたその黒い穴ナニ!?

 なんか地獄の入口っぽいおどろおどろしさなんですけどっ!?

 生き返りも転生もできないから違うのに生まれ変わるんじゃないのあたし!?


「あ。お前地球には戻れねぇから」

「……………………は?」


 頭が真っ白ぱーとすりー。

 思わずビキンッと固まったあたしに、だけど2人は止まらない。


「貴女には陽の世界でも私の世界でもない、他の世界に行って頂きます」

 ………………へ?

「『お前』を消した上、存在を根本から覆したと言っても、安心は出来ねぇからな。ま、万一に備えて、だ」

「幸い世界には色々、本当に色々、『異世界からの人間がたまに現れる』という伝承を残す処が多いですから」

「そん中のひとつにランダムで落とす」

「ちょっと待てぇい!!」


 コレ以上やったらホントに事故死その後に異世界トリップ黄金パターンだってば!!

 とゆーかムリ!!そんな右も左も解らないトコに落されたってあたし生きてけない!!


「大丈夫だ。俺からの『加護』はアーグと魔眼と知識。そーそーのたれ死ぬ事はねーって」

「因みに私からの『加護』はエーテルと翼と技術です。生半可な相手では戦って負ける事もあり得ませんよ」


 ってナニそののたれ死ぬとか戦ってとかっっ!!

 ちょっと待ってもしかしてそんなのがふつーにある世界なの!?

 やめてよあたし平和主義者!!戦争も経験した事ない現代っ子!!

 いっ、いやいや待って下さい!?ナニその手!?なんでわきわき!?ねぇわきわき!?


「だーから。サスガに捕まえてそっこー蹴落とすのは不親切だからって力をやったんだろ?」

「ああ、名前は変えて下さいね?でないと『貴女』が完全に消えた事にならないので」

「因みに外見に関しては、『俺等の加護を受け取って変質したお前自身の魂』から形成されっからな」

「まあ。階梯は上位、智・技・体も最上。ドコに落ちても大丈夫でしょう」

「だな。着いた瞬間魔獣に襲われようが、即死ルートは回避出来そうだ」

「怖い事言った!!すっごい怖い事言ったよこの人達っじゃない神様達っ!?」


 って、やめて待ってホントすとっぷいやちょっぎゃーーーー!?!?

「ぎゃーぎゃー喚くなほら逝って来ーい」

「新しい人生悔い無く生きて下さいねー」


 どげしっ。


「ちょっ、待てコラてめぇ等話はまだ――――ぁぁぁぁああああぁぁああ!?!?!?!?」

 しかもいってこいの字絶対『行』くじゃなく『逝』くだっただろぉぉぉおおおぉぉおおお!!


 ろぉ―――

   ろぉ―――

     ろぉ―――


 ………………………………そんな感じで、あたしはイキナリ出来た黒い穴に蹴り落とされた。


 ちくせう。あいつ等今度会ったら絶対殴る。

 相手は上位の神様?はっ、知るかそんなん!!




     ~・~・~・~・~




 そして次に目が覚めた先には広がる樹海がありました。


 ……ナニそれイキナリ死亡フラグ?

 思わずがくっと項垂れたあたしは悪くない、悪くないったらない。


 くそう。どーせだったらどっかの王様の前とか魔王様の前とか皇子様の前とかっ。

 王道だったらその辺でしょー!?

 …………や。現実的に考えればソレこそそっこーで首ちょんぱじゃない?


 イキナリ空とかから降って来たアヤしさ爆発な人間。下手すりゃ暗殺者と間違えられかねない。今まで色んなサイトさんで色々読み漁ってきたんだ。貴族は平民をおんなじ人間だとも思ってないヤツが多い、ってのは、アンチ設定が入ってなくても多い多い。

 現代でも「コレだから学歴の無い人間は」ってのは多いからねぇ……


 ソレにしても、ココ、ドコだろ。


 前を見ても後ろを見ても右も左も緑みどりミドリ。

 うん。森だ。しかも多分、ど真ん中だ。

 ぴーひょろろ、とかどっかで鳥が鳴いてる。時々ぎゃあぎゃあ、って鳴き声も。

 うん。森だ。


 ……はぁ。

 雰囲気的にイヤな感じはしないし明るいし。視界を巡らす限り、見える場所にも感じるモノも何にもないけど。


 コレはちょっと、ないんじゃないでしょーか?


 王様の前とか、せめて町のど真ん中だとかに落して、とはもう言わないけど……だってそんなん明らかに不審者だ。

 けどせめて、人のいる場所に近いトコに落して欲しかった。まあ今となっちゃ文句言いまくりたいヤツ等は遥か彼方なんだろうけど。


 だから何時までもぐちぐち言ってたって仕方無い。

 まあ取り敢えずは。


「ドコまでイけるか試してみますか」


 森だから食べられる木の実とかいっこぐらいあるだろうし。

 木の実無くても兎か鳥でも狩れば……うん、頭ん中漁ってみたらあった。サバイバルに役立ちそーな知識が。しかもその中には捌き方も入ってた。

 多分コレがギャル男のくれた知識とやらなんだろう。あって良かったと思うホントに。


 こんだけ緑豊かなんだから、水場だってあるハズ。魚の三枚おろしはけっこー得意。こちとら小学生の頃から母親に家事手伝わされてたんだ。自炊生活20年近くを舐めるなよ?


「あ。でも包丁持ってない」

 思わず呟いて頭の中で思い浮かべたら――――目の前で、ホントに包丁が出現してサクっと地面に突き刺さった。


 …………ちょ、っと待てーい。

 コレは我が家の切れない包丁じゃないか。この青い取っ手。間違いない。


 知識の中を漁る。何でこんなのがイキナリ出て来たのか。その理由を。

 そしてソレはそっこーで出てきた。


 ―――ふぅん。ヤサ男の技術のひとつ、魔力の具現化、造魔の力、ね。

 しかも1回でも見た事のあるモノ、知識にあるモノなら何でも具現化させられる、ってか。

 …………何だその某守護者の投影魔術みたいな魔法は。

 しかもあたしの魔力はほぼ無尽蔵、思い浮かべただけで魔力がホントに物質になるなんて。

 力のセーブ、憶えなきゃなぁ。でないとホント、ちょっと考えただけでぽこぽこ作ってしまいそう。


 まあだけど、コレで捌く為の刃物はゲットした。

 次は食材だな、と。刺さった包丁に手を伸ばしたトコで。


 ……あれ?

 あれあれあれぇ???


 伸ばした手が筋張ってる。

 てんてんてん、と視線を動かして、肩……の前に目に付くハズの胸の脂肪が、無い。

 更に、何も付いてないハズのトコに、なんかイヤンな感覚。

 そしてなんで目に入ってきた脚が、素足?


 思わず自分の身体を見下ろす。


 …………いや、うん。

 そりゃ自分コレでもおばちゃんて言われる程度には生きてきたし生娘でも無いから?

 チチが真っ平らとか脚の付け根にぶらんぶらんとか。

 きゃあ、なんてカワイイ悲鳴上げて恥じらう事もしませんが?


 …………ナゼにまっぱ?

 ……………………そしてナゼに男?オス?MAN?ほわい?


 ――――ホンットに身ひとつで落としてくれやがったのかアイツ等!!

 ココまで色々してくれたんだから服くらいオマケしてよ!?

 ちょ、気付いて良かったすっごい良かった!!

 コレでホントに王様の前とか町のど真ん中なんかに落とされた日にゃ露出狂変態扱いだよ!!

 しかも男って何さ男って!!

 魂から形成されるって言ってたよね!?ねぇ言ってたよね!?

 どっかのマッドサイエンティストふうに言うなら『ありえないわ』だよ!?

 あたしコレでも30過ぎよ!?

 女としてなんか色々捨ててたしっ、腐の方向に間違って突き進んでたけどっっ、でもソレだけ女として生きてきたんだよ!?


「かっ、鏡鏡!!」

 ぱっ。

 出てきてポトッと落ちてきたソレを速攻拾い上げる。

 をを、ウチにあった手鏡と全く同じでわないですか。

 いやいやソレは今はどーでもいーんだどーでも……


「……どうしてこうなった。」


 ―――そしてココで、冒頭へと至る、のですが。

 や、だって、その、ねぇ?


 あたしの感情の変化に連動して動くこの顔、確かに『今』のあたしの顔なんだろうけど……美人だ。

 華奢で、美麗で、優雅で、婀娜で、綺麗で、この世にある『ふつくしい』の類義語全部集めて並べたとしても足りないくらい、美人だ。

 元が日本人なのに、何故か水晶みたいな透明感のある銀?の髪とか、病気的、ではないけどシミひとつ無い白い肌とか。

 ゼツミョーな形と大きさとバランスで配置された各部のパーツとか。

 赤みがかった金の左目とか青みがかった銀の右目とか。

 身体にしたってそうだ。マッチョでは無いけど腹筋割れてる。ただ細いだけじゃなくちゃんと筋肉付いてる。

 ドコぞの彫像か。


 …………コレほんとに生きてんのかって思ってしまった。いやあたしなんだけど。生きてるけど。


 ホントありえんくらいに美人だ。

 いや、ソレはこの際放り投げる。この顔だけでごはん3杯どころか7杯8杯イケそうだけど放り投げる。

 問題は、この顔。


「………………なにゆえ『世癒』の顔。」


 そう。

 あたしは文章は書くものの絵は下手だったから描きもしなかったが。コレは、あたしが書いてたドリー夢の、主人公の外見特徴に見事にマッチする。

 ……魂で肉体の形成ってあのチャラ男は言ってたけど……ココに来てまさかのヲタク根性発動?


 ガサガサと頭ん中漁ってみた。ら、ありました。

 あの2人の力を『加護』として貰った時、あたしの妄想がその力に作用した、らしい。

 そして、この姿……何か確か苗床がどーとかってニヤニヤしてたけどあの2人……こーゆー事か。

 …………あたしどんだけオタクやねん。


「……うをう、しかも羽が」


 直してたハズのモノが出てるし。頭から肘から膝の横から背中から腰から。

 と、とりあえずー、ナイナイしましょーねーナイナイー。

 …………うし。収まった。

 あ。とか思ったら髪の毛が真っ黒に。

 うぬ?と思ってもっかい鏡を覗き込む……ビンゴ。目も黒になってた。


「…………ソレにしても…………」

 ホントにあたし人外じゃないか。

 今後どーやって生きて行けと。

「…………ま、いっか」


 サジ投げた。

 だって考えても仕方ない。

 事故に巻き込まれて死んで神様に会ってチート貰って異世界蹴り落とされるなんて黄金律の上に更にTS要素って何、て感じだけど。


 何事もポジティブに行こう、うん。


 既に階梯としては、アイツ等の言葉を信じるなら神様モドキ。今更女に拘るのもアホらしい。

 更にあたしは可愛い女の子綺麗なおねーさん大好きだ。

 やんちゃな男の子もダンディーなおぢさまも大好きだけど。

 何より慢性的な肩こりの元凶だった無駄にでかいチチと月一で訪れる腹痛が無くなるのは万々歳。


 取り敢えず、そーと決まればごはんよりも先にまず服。

 服が欲しい服が。


 ばさばさばさっっ!!


 ……………………うん。そーいやさっき思ったばっかだよね。

 ちょっと考えただけでぽこぽこ出てきそうだから力のセーブ覚えなきゃ、って。

 ナニこの服の山。

 こんなに要らないわよ一着でいーのよ取り敢えずは。

 ってっ、消えちゃった消えちゃった全部消えちゃった!!

 ああっ、折角の包丁さんや手鏡さんまで消えちゃった!!


 出てきた時と同じく一瞬で消えた服に思わずがっくりOTZ。

 …………や、ホント。早く力のセーブ覚えなきゃ。


「……はふぅ、取り敢えずパンツ欲しい。ボクサータイプ。灰色でイイや。」

 ぱっ。

「……厚手の靴下。色は紺で。」

 ぱっ。

「…………某最期の幻想7子供達の訪れ主人公の服。」

 ぱぱっ。

「………………某灰男ポニーテールの団服。」

 ぱぱぱっ。

「……………………某幻想の星未開の翼。」

 ぱぱぱぱっ。


 ………………

 ………………なにこれオモシロイ。


 はっΣ。いかんいかんっ。いくら楽しいからってコスプレ衣装作ってどーする!?

 ……や、でも、まあ。

 惹かれる。すっごい惹かれる。生前(?)手先の不器用さで断念してたから特に。

 …………取り敢えず。作っちゃったし。

 着てみよっと♪


 や、でもフロンティアウイングは却下だな。

 袖とか裾とかの羽っぽいの好きだけど、近未来的過ぎる。

 この世界が化学繊維とかふつーに普及してる文明レベルならギリで誤魔化せるだろうけど。

 逆に中世ヨーロッパとか、もっと悪くて原始時代だったりしたらオーパーツだ。


 団服、もなぁ。

 ホントにどっかの制服、に見えるからなぁ。

 しかも左胸のローズクロスはルビィにシルバァ。細工も細かい。

 どんだけお金掛けてんのって感じだよね。パッと見。


 チョコボ頭の衣装、もなぁ。

 肩当てなんて現代には必要ないっしょ。

 ココが剣と魔法のファンタジーな世界ならアリだけど。

 ソコまで確認してないから何とも。

 けど肩当てさえなけりゃこの中では一番ふつーな……


 ヨシ。

 肩当て抜きでコレ着よう。


 ぱぱぱっ。


 って思ったらまた全部消えちゃった!?


 ぱぱぱっ。


 …………うん。

 便利なのは解った。

 服を着た自分、を思い浮かべただけで袖も通さず動きすらもせずに着れるのは解った。

 着せ替えやりたいほーだいだね!!

 ココに姿見があれば……いえいえ何でもないです。


 ……はぁ、つかれた。

 体力とかじゃなく精神的に疲れた。


 まあいーや。後の2着は消して、と。

 取り敢えず、いつ何時何があってもいーよーに。


 食べ物と水とネグラの確保をしに行きますか。




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