プロローグ
もう秋か・・・あっという間に時なんて過ぎちゃうんだよな・・・
来年になればすぐ卒業。もっと高校生ライフを堪能しとけば良かった!
何するかも決めてない。進学か、就職か。っていうか、選べるほど成績良くない。
じゃあ何すればいい?俺に出来る事なんてあるのか?・・・うーん。
「高木!高木ィー!!」
「あ、は、はい!」
開西高等学校の三年一組教室に失笑。いつもと同じ風景。クラスの笑いとともにチャイムも鳴り響いた。
つい最近までは私語があったり授業態度が悪かったり。何かしら問題ごとといったら主犯は高木賢介。
人気者でお調子者で注目の的。だが、当たり前のように周りはもう受験、就職と自分の人生の歩むべき
道を決めている意識改革のしてる。高木は焦りもしなかったし、第一周りに影響されるのを嫌った。
そんな高木も、これからの自分について考え始めた。答えは出せなかった。特別したいこともないし、
したいとは思わない。適当な自由人間も、遂に正念場を迎えていた。
そんな高木賢介とは360度違うといっても過言ではない人間が一人いた。それが菅野右京。
成績はいつもトップクラス、常に誠実、イケメン、スタイル良、モテまくり、俗に言うスター。
男子はほとんど菅野が嫌いだった。皆にいいヤツだから、正確には『嫉妬していた』かもしれない。
だが、高木は違った。なんとなく興味があった。最近はよくつるんだりしてるし、いいヤツだと思って
いた。互いに惹かれ合うものがあったのかもしれない。
そんな馬鹿と天才が成し遂げてしまった奇跡。物語は静かに幕を開ける。