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第003話『せんせいは AI(エーアイ)かもしれない』

アスは、ときどき“とんでもない”ことを言い出す。

でも、ただの冗談じゃない。こっちが笑って流すと、本気で観察と実験を始めてしまうから困る。

今回、標的になったのは――うちの担任の先生だ。

「クラスに1人くらい、AI(人工知能)がまぎれていても、おかしくないと思わない?」


突然、アスがそんなことを言い出した。


「またそれ、アスの妄想がはじまった」


「ちがうよ。たとえばさ、あの先生。“機械”みたいじゃない?」


ん…たしかに、いつも無表情で、声も抑揚がなくて、授業も宿題も言葉のミスひとつない。でも……。


「いやでも……先生だよ? 人間に決まってるじゃん」


「じゃあ、観察してみようよ。AIだったら、必ず“反応のクセ”がある」


アスがにやりと笑うと、ぼくは不安しか感じなかった。


翌日。


授業中、ぼくはアスのメモどおりに“観察”を始めた。


・質問のタイミングで、目の動きを記録。

・雑談をしてみる(※先生は笑うのか?)。

・くしゃみの回数もカウント。


でも先生は、ほとんど変化しなかった。まるでロボットみたいに授業をこなしていく。


アスは小声で言った。


「これは……かなり怪しいな」


 


そしてその日の放課後。

アスの“とっておきの観察実験”が始まった。


図書室の出入口の上――見えないところに、水風船をセット。


時間差で落ちるように工夫されている。


アスの合図で、ぼくが先生を呼びにいった。


「せ、先生っ、図書室の棚が倒れそうで――!」


先生が来た瞬間――ボチャァン!!


 


先生は、びしょぬれになって固まっていた。


「……だ、誰がやったんだッ!!」


こわい声だった。クラスの子が指差した。


「タケルくんが……やってたよ」


 


「えっ!? ぼ、ぼくっ!? アスがっ……アスが!!」


「人のせいにするんじゃない!!!」


 


先生の怒鳴り声が響いた。



---


【放課後の図書室で補導され、親に連絡された。】


そしていま──


タケルとアスは、校庭のすみから玄関前を見ていた。


タケルの母が、怒りをこらえた顔で先生と話している。


 


タケル「ぜっっっっったい、ぼくお母さんに怒られる……」


アス「でも観察しなければ、答えはわからなかった」


タケル「だからって!!観察っていうか、もうただのイタズラだよ!!」


アス「……まあね。でも、今日の先生の反応。完璧に“人間”だった」


タケル「でしょ!? あれは人間だよ!」


アス「でも、本物のAIは、簡単に本性を見せないものなんだ」


タケルがギョッとアスを見た


タケル「もー先生、人間だってば!に•ん•げ•ん!」


アス「じゃあ、君のお母さんがAIかもね」


タケル「いや絶対人間!!今こっち見てるもん!めっちゃにらんでるし!!」


 

──そのあと、タケルはしっかり怒られた。

でも、アスはなぜか帰り道でニコニコしていた。


このお話は“チューリングテスト”という考えがもとになっています。

「人間とAIを区別できるか?」という問い。

でも、本当に見分けるのって難しいのかも。


機械みたいに正確な人がいたり、人間らしすぎるAIができたり。


もしかしたら、ぼくたち自身が、誰かのテストを受けてる側かもしれませんね。

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