異世界より愛を込めて-2 再教育と束の間の休日
ダニエルは捕まる1日前
アリサとエリザは最初の任務の失敗を受けてから、再教育を受けることになった。
アリサとしては本格的にスパイとしての訓練をバッチリ受けられることにワクワクしていたが....
内容はーーー
「どうしてこうなるのぉぉぉ」
泥だらけになりながらオリーブドラブの戦闘服を着てライフルを持って、ジャングルの中を駆け巡りながらアリサはそう叫んだ。
華やかなスパイとはかけ離れた、強いて言うなら....軍隊というより特殊部隊のトレーニングという感じだった。
ケイが特別メニューを組んだようで、知り合いの元海軍特殊部隊の教官達ににバシバシと扱かれた1週間だった。
ボロ雑巾のようになってヘロヘロになりながらもエリザは気合と根性でアリサについてきていたーー
アリサ自身も新兵教育の時に受けた訓練を想像していたが、それを遥かに超える厳しさに衝撃を受けていた。
今日は最終日で、昨日の夜に爆破した敵地から全力で逃げると言う訓練をしていた....
アリサとエリザはビビりながら実際の爆弾を廃ビルに仕掛けて爆破し、トチ狂って空砲をぶっ放して追いかけてくる教官達を掻い潜り、ジャングルに逃げて...
泥水の中を潜り、障害物を超えてゴールである砂浜に辿り着くとそこには涼しげな顔をするスーツを着たケイが待っていた。
「君たちの前回の敗因は命令違反だ。RINS6はあまり縦割りでやるつもりはないが...禁止事項だけは、やめてくれよな」
「は...はい。了解ですーーー課長」
「よし。では、訓練はこんなところにしよう。君たちの協力して問題をこなす姿勢は評価できるぞ。その感覚で二人で協力してやってくれ。あとは、禁止事項は守ってね」
ケイはそう言う手を振って颯爽と崩れ落ちるアリサとエリザの横を通り抜けていった。
「やっと終わりました....お風呂入りたいです」
アリサはそう言ってライフルの銃底を地面に置いた。
エリザはライフルを地面に寝かしておこうとしたが、パッと持ち替えてアリサと同じようにした。
「本当ね。お風呂行きたいわ....」
エリザはそう言って息を整えながらアリサにそう言った。
「アリサ...あなたやるわね。潜入やらの技術は私が上だと思ってたけど。
隠密行動はあなたの方は数枚も上だわ」
「エリザも!すごいですよ〜爆弾のこととか詳しいしそれに...尋問耐久訓練で教官達を黙らせたり。あの気迫とガッツはすごかったですよーーーー
とにかく...宿舎に戻りましょ..ね?」
「うん。そうね...そうしましょーー」
エリザはそう答えると、アリサが近づいてきて肩を組んできた二人は二人三脚みたいな形になりながら演習場ジャングルパークを後にした。
宿舎に戻った二人は、サウナに入りながら完全に伸び上がっていたーー
そこに別の女性兵士が入って、アリサはハッとした顔をして挨拶をした。
「あ、ミライだ!元気でしたか?」
「あ!アリサ!久々!元気ですよ〜」
アリサがミライと名前を呼んだアリサと同い年ぐらいの少女は嬉しそうにしながら、アリサの手を握っていた。
エリザは彼女の引き締まった筋肉質な体型を見てすごいと思ったが...アリサと仲が良くてそういう体型なのかはすぐにアリサが説明をした。
「あ、こちらは私の同郷の友人で同じ第三教育部で新兵訓練を受けたミライ・キサラギ水兵で、マリンセイル消防大隊の消防士なのよ」
ミライはそれを聞くと敬礼をしてエリザに挨拶をした。
マリンセイルと聞いてエリザは驚いた表情をしてこう言った。
「マリンセイルなのね!私の故郷なのお勤めご苦労様です」
「いえいえ!まだまだ新人ですので〜そんなこと言われても」
ミライはそう言ってどこか恥ずかしそうな顔をしていた。
エリザの紹介は楽しそうにアリサがしてくれた。
「こちらはエリザ。今同じ部署で働いてる事務の子なんですよ!よろしくです」
「エリザよ。よろしくね」
エリザはそう言って、ミライと握手をしたーーー
そうこうしているうちにエリザはサウナの暑さに少し我慢できなくなって、挨拶をしてそっと外に出た。
アリサは少し残って友人と喋ることにしたようで、エリザだけ外に出ることにしたーーー
「異世界人って...みんなすごいわね。それに比べて私ーー大丈夫かしら...」
エリザはそう言ってため息をついた、
どっと疲れが出たので近くにあった炭酸泉の大きな浴槽に浸かったーーー
エリザはふと養成学校でのことを思い出していたーーー
スパイとして色々なことを学んだ。あの人みたいに誰かを救たくてと思って、両親に無理を言ってスパイの道に入った。
思い返していると過去のこともふと思い出していた。
あの人....
私を助けてくれたヒーロー。
『君なら大丈夫。僕がいるーー必ず助けてやる』
そう幼少期に声を変えてくれた憧れの人が思い浮かぶ。
怖くて怖くて堪らない中で彼はそう言って優雅にでも力強く誘拐されたエリザを助け出したーーー
あの時の感動を心の中で大切にしている。
その目標があったから、やってこれたーーー
「あ、エリザ!いたいた!!じゃあね!ミライまた会いましょうぞ」
アリサはそう言ってまだサウナ室にいる友人に手を振って外に出てきた。
エリザはそんな彼女をみてこう言った。
「よかったの。仲がいい友達だからもう少し時間取ってもよかったんじゃないの?」
「うーん。それがですね....時間を見たら、ミレーヌさんに言われた飛行機の時間がギリギリだってことに気がつきましてぇ」
「え...?」
エリザはそう言ってアリサと一緒に時計を見て声を揃えてこう言ったーーー
「「えぇぇ!!!」」
ミレーヌと合流して任務に向かう飛行機の出発時間まで...あと5分だったのだーーー
「マイペースにも程があるわよ」
「えへへ。すいませんっ」
アリサはそう言ってどこか嬉しそうにしながらはにかんでいたので、エリザはこうツッコミを入れたーーー
と持ったが、エリザ自身も時間を忘れてたことをふと思い出してため息をついた。
「褒めてないわよ!とにかく!!急がないと!!!」
「ですね!!」
アリサとエリザは顔を見合わせて、頷き大浴場を後にしたーーー
身体を拭いただけで搭乗する輸送機の発着場に到着した二人は海からがってきたかのような髪をしたままになっていた。
陸軍の戦闘服に身を包みミレーヌとスーツできちんと決めていたダニエルがいて二人ともアリサとエリザを見て苦笑いしていた。
「どうやら、ジャングルパークでの訓練は過酷を極めたようだなーー」
ダニエルはそうどこか皮肉を言うようにして、アリサとエリザにどこから取り出したのか分からなかったがバスタオルを二枚取り出してそれを渡してきた。
「急いで来てくれたのは結構だ。集合時間ギリギリだったけどなーーー数時間の休暇だと時間が厳しかったかな?
とりあえず、詳細は空の上でお話ししよう。あと、ゆっくりと身嗜みを整える時間はあるから」
ダニエルはそう言うと、アリサは元気よくはい返事を返したが、エリザはどこか恥ずかしそうにはいと返事を答えた。
「ドライヤーとかは私が持ってるから使っていいわよーーーもう少し、余裕は持った方がいいわよ」
ミレーヌはそうどこか笑いを堪えたようにしながらそう言って、飛行機に搭乗し始めたーー
どこかため息をつくアリサとエリザもそれに続いて輸送機に乗り込んだーーー
輸送機に乗り込むとアリサとエリザは、ミレーヌから与えられた黒っぽい学生用のセーラー服のような服をもらいそれに着替えて、髪を乾かし化粧をしていた。
受け取ったセーラー服ような服はどこかかっこよさを感じながらも、スタイリッシュで動きやすものでアリサは驚いていた。
「これは、ウェストブロックで開発している最新鋭の行動服らしい。アリサとエリザに試してほしいとケイから預かったものだ。
その服なら、多分街に紛れてもまー大丈夫だろう...私に比べれば」
ミレーヌは自分の今着ている陸軍の王立パラシュート部隊の戦闘服を見てこう言った。
「いいですね!これ!なんかアイドルみたいです!」
アリサはそう言って早速それに着替えて、ルンルンと動いてみせた。
エリザも少しデザインは異なっっていたが同じようなものが用意されているようだったーーーー
「準備はできたかな?お嬢さん達?」
そう、パーテーションを挟んだ向こう側からダニエルの声が聞こえてきた。
それに対して、エリザがこう言った。
「はい!大丈夫ですわ!」
そう言うと何かをダニエルはパーテーションを飛び越えるように投げ込んで来てこう言った。
「その中に指令書がある。今から、このミッションの説明をするからしっかり聞いておいてくれよ」
アリサ「ミライはカメオ出演だったんですね」
エリザ「見たいね。まだか、同じ世界観のだったとは思わなかったわ」
アリサ「でも、前の章でてきたいかにも強敵そうだった迷彩服を着たナイフ男ってあの人じゃないんですか?」
エリザ「うーん確かにあり得そうだわ...ダニエルさんも苦戦してそうだったしーーーもしかしたら、アリサと同じ異世界からの転生者じゃないの?
異世界人ってほらなんか、すごい強かったり能力高いし...」
アリサ「うーんどうでしょう。でもきっとまた会うと思います。それよりもエリザ。次のミッション頑張りましょ!」
エリザ「え、ええ。そうね....」
アリサ「次回、囚われの色男。乞うご期待です!」