異世界でスパイな生活-6 敵もスパイ
車を走らせて向かった場所は、港の埠頭でーーー
アリサ達が乗った車は追手や妨害をかわして埠頭に到着した。
「君たちは後方からのバックアップを頼む。
時期に騒ぎに気がついた警察と軍が来るだろうから、それまで頑張ってくれ。僕はルーベルトを追う!」
「了解です。社長」
アリサはそう答えると懐か拳銃を取り出した。
横にいたエリザもどこか意を決した表情を見せて、ミレーヌから受け取った拳銃を手に取って弾を装填した。
ミレーヌはドレスのスカートを破ってスリットを作り、動きやすいように工夫をしていた。
それを見たダニエルは口笛を吹いたが、首を傾げてこう言ったーー
「なんかこう、恥じらいみたいなのはないのか?」
堂々としながらライフルを持っているミレーヌを見てダニエルはそう呟くようにいうとミレーヌはどこか軽く鼻で笑ってこう言った。
「生憎ですが、中佐。今は戦闘中です...そんなの気にしてられませんので」
どうどこか堂々たる格好で遮蔽物に身を隠して銃を構え始めたのを見てダニエルはため息をついて走り出した。
「アリサ、エリザ!二人はダニエルに続いて行って私がここは一人で追っ手を抑えるから」
「で、でも!ミレーヌさん一人で...」
アリサがそうミレーヌを心配して声を発した時、ミレーヌはフルオートでライフルを連射させて向かってきた追手の車をスリップさせた。
驚いた中に乗っていた敵は急いで車から離れていき車が大爆発したのを見てアリサは...ミレーヌがかなり強者であるのを理解してこう言った。
「わっかーりました!ミレーヌさん!行ってきますっ!!」
映画のスタントさながらの世界を見てアリサはどこか恐怖よりもワクワク感の方が込み上げてきていた。
アリサの足はダニエルを追いかける方へ走り始めていた。
そしてどこから取り出したのかわからなかったが、ミレーヌはロケットランチャーを構えていた。
それを見て、驚いたエリザは走ってアリサを追いかける形を取っていた。
ダニエルは走りながら、懐から拳銃を取り出して弾を装填してアリサとエリザにこう指示を送った。
「アリサ!エリザ!ルーベルトはこの先に停泊してる潜水艦に乗るはずだ!動かれたら任務は失敗だいいな!必ずそれを阻止するぞ」
「「はい」」
そう返事を返した時だった...
上から迷彩服を着た男性が飛び降りて来て腰にあるナイフを抜いてそれをダニエルに向かって投げた。
ダニエルはそれを間一髪で交わして、どこか不味そうな顔をして一瞬だけ見せた後、何事もなかったかのようにニコッと笑みを見せてアリサとエリザにこう言った。
「こいつはヤバい相手だ。俺は相手するから君たち二人がルーベルトの確保に走ってくれ!」
エリザはそれを聞いて、うんと頷いて方向を変えて走り出したが....
アリサはその降りて来た男性を見てどこか親近感に似たような見たことあるような雰囲気を感じ取って考えるために足を止めていたーー
「アリサ!行きますわよ」
エリザが足が止まっているアリサに気がつきそう声をかけて彼女の手を引っ張って行った。
「迷彩服なんて珍しいですわね...イーストの特殊部隊かしらーー」
エリザもあの男性に関して思うところはあるようだった、でも今はそれよりもルーベルトの追うのが先だと思ったアリサは相槌だけを打ってエリザに続いて進んでいった。
背中を向けて走っているとルーベルトを見つけたのでアリサは声を出した。
「止まってください!ルーベルト中佐!!」
アリサはそう言うと拳銃をルーベルトに向けた。
ルーベルトは振り振り返った。彼の手には鞄が大切そうに抱えられていたーーー
「やはり、君達は諜報局の工作員だったんだ....
見逃してくれないか?イーストに行かないと家族がーー」
それを聞いた、アリサはふと彼の家族が頭に浮かんで構えた銃を下ろしかけた。それをした瞬間、エリザが懐から銃を構えてこう言った。
「アリサ!騙されてはいけませんわ!
ルーベルトの家族はすでに海軍コマンドが回収に向かっていますわ。だから、ルーベルトさん...そのケースを渡して」
それを聞いたアリサは拳銃を締まってゆっくりとルーベルトに近づいた。
しかしその瞬間だった...
アリサの足元に金属音と共に何かが転がってきた。
「フラッシュバン!?」
アリサがそこに転がってきたものが閃光弾が転がってきたことに気がつき咄嗟に目を瞑ったが....
爆発音と共に耳がキーンと耳鳴りがして、平衡感覚を失って一瞬ふらついたが、目を開けて目の前に飛んできた脚をアリサは受け流した。
エリザは爆音と閃光でやられたようで狼狽えて近くにあった壁に寄りかかっていた。
音が聞こえないが、ぼんやりとしながら目の前にいた黒いライダースーツのような服を着た銀髪の女性が臨戦態勢をとって身構えているのを見てとれた。
アリサは銃を構えようとしたが、それを蹴り上げられて銃が暴発して手から頭上へと飛んでいった。
アリサはすかさず電撃警棒を取り出して銀髪の女性を叩こうとしたがバックステップで避けられた。
「あなた、すごく反応がいいわね。アリサさん」
アリサの耳にそう聞き覚えのある声が聞こえて、襲ってきた女性の姿をアリサはきちんと視認することができた。
彼女はさっきカフェで出会ったエレナだった。
「やっぱり、慌てん坊の水兵さんのあなた同業だったのねーーーしかもその身体能力ってことは異世界転生者ね...」
「だったら....どうするんですか?」
アリサはそう少し食い気味に答えると、エレナはどこ嬉しそうな顔をして腰にあったナイフを抜いてこう言った。
「ルーベルトと情報はイーストがどちらにしろいただくわ。ごめんなさいねアリサ...じゃあ、また会いましょう」
エレナがそう答えるとナイフをアリサに投げつけてきたアリサはそれを警棒で弾き返したが、同時に三つのボールを投げられていることに気がつかず、そのボールは顔面を直撃して煙を撒き散らした。
咄嗟に口と鼻を腕で覆ったが、目に入ったのはカバーしきてなかったーー
催涙スプレーのようなもので思わずの激痛が走ってアリサは目を閉じて跪いた。
「いっったーい...なにこれ」
アリサがそう悶えていると誰かに水筒を渡されたのに気がついて、それで目を洗った。
「アリサ。大丈夫?」
その水筒を渡してきた声の主はミレーヌのようで、アリサは目を洗って痛みが引いたところで周りを見渡してーー
ライフルを持っているミレーヌと気絶するエリザしかいないに気がついた。
遅れて、涼しい顔をしていたダニエルが銃を構えた状態でやってくるのが見えたーーー
そして、ダニエルはさっきまでルーベルトがいた位置に放置されていた鞄を手に取って中身を見てこう言った。
「今回は準備不足で一本取られたみたいだな...でも、重要書類だけは置いて行ってくれたみたいだな。
ルーベルトは一応どっちにも花を置いて行ったって感じか...」
ダニエルはそう言って、書類の中から極秘と書かれた書類を手に取ってホッと息をついたのを見た。
そして、アリサとエリザを見て見て肩をすくめてこう言ったーーー
「ケイに人選を任せたのは正解だったようだが....流石に訓練不足だなーー
でも、東側のトップレベルのエージェント相手だから仕方ないか」
それを聞いた、アリサは一つ疑問に感じてダニエルに聞いた。
「社長は、あの人たちを知ってるんですか?」
ダニエルはどこか確信は持てない感じで首を傾げて自身がないようにこう言った。
「多分だが、イーストブロックの中央情報局か陸軍特殊部隊の工作員だろうと思うよーーー
あの迷彩服の男、強すぎだったからな....あんなの普通のスパイじゃない...」
ダニエルはそう言って、どこか疲れたような様子を見せながらも書類をまとめてこう言った。
「まぁ、任務は半分失敗だが....半分成功だーーーとりあえず、戻るとしよう」
「そうですね。社長ーー残務処理のお時間です」
ミレーヌはそう言ってエリザの身体をゆすって目を覚ましようにさせたーーー
アリサはふとさっきも一瞬の出来事を頭の中で思い返して...
自分がまさにスパイ映画の中の世界にいるような気がしてワクワクしていた。
「エレナさん....敵の最強スパイ!なんか、いい響きです」
エリザ「やらかしましたわね...悔しいわ」
アリサ「うーん...敵のスパイ、エレナさんめちゃくちゃかっこよくて強かったです」
エリザ「敵を褒めてどうするのよ...ってなんかワクワクしてない?」
アリサ「え、だってーーエレナさんすごかったんですよ!」
エリザ「あなたね...任務失敗したのよ」
アリサ「う...うん確かにそれは....でも、初めてだったので仕方はないですっ!次に挽回しますよ」
エリザ「前向きなのねーーー」
ダニエル「おーい。とりあえず、今回はアリサとエリザの実力を考えずで敵も読めてなかった僕も悪いと言えば悪い....最初にしては上出来だ。書類は回収できたーーそれでよしとしてくれないか?エリザ」
エリザ「え、えぇぇも、もちろんですわ(こんな近くの殿方がっ緊張ーーー)」
ダニエル「とりあえず。君達二人はちょっと勉強が必要だってのがわかったから....精進してくれよ」
アリサ「はい!立派なかっこいいスパイになるため頑張りますっ!」