沈黙
色んなことを書こうと思います。
頑張って連載します。
読んでいただけたら幸いです。
雪も降らず、気持ちいい快晴。とはいえ冬だ。防寒具無しじゃ寒い。
あちこちで敵を散々殺したナパームは、今も生き血を求める獣のようにドロドロと燃えている。
俺の足元には顔面が陥没した誰とも知れぬ二等兵の上半身が、ない腕をバンザイして青空を仰いでいる。左に10フィート目をやれば、デブの特級射手の後頭部から咲いた脳漿の一輪が荒野に佇んでいる。
内蔵をぶちまけ、人の形を失った死体。頭に受けた弾丸が貫通し、戦場産とは思えないほど状態の良い死体。黒焦げの死体。飛散した四肢で築かれた肉の山と、その持ち主の死体。
敵の死体。味方の死体。
人間の死体。魔物の死体。
兵器の死体。糧食の死体。
死体。死体。死体。死体。
どこを見ても、死体。
あぁ、俺も恐らくこの死体の一員になる。いや、実はとっくの昔になってたのかも知れない。
分からない。
自分が生きているのか、死んでいるのかさえ、俺は、俺には、何も分からない。
それが恐ろしい。
俺はいったい何を、してきたのだろうか。
あぁ、俺のやってきたことは、きっと何の意味もない。
いや、俺一人じゃない。
全員だ。ここにいる全員の行動は、何の意味もなかった。
意味など、なかった。
俺の聴覚、視覚、嗅覚、味覚、触覚も、意味をなくしていく。
沈黙が、広がっていく。
それを聞く。
それが肌に触れる。
まるで世界というものが元からそうだったように。
いつまでも、どこまでも、広がっていく。
そこには生があった。
そこには死があった。
そこには心があった。
そこには青い空があった。
きっとそれで、充分だ。
ハレルヤ、ハレルヤ。