Ⅱ
とりあえず、こいつの名前を決めるか。」
私を指差してファナが言った。(呼び捨てにしろといわれた。)佐奈が頷いた。
「もしかして、私と同じ和国?黒髪に、黒い目をしているし。」
和国……。海に囲まれた島国。文化は結構変だって聞いた事があるな……。
出身国も思い出せない……。
「出身国もわからないや。」
「じゃあ、和国の名前でいいな!」
「う、うん。」
二人は頭をかしげた。私の名前を考えてくれるみたい……。
しばらくたつと、ファナが立ち上がった。
「黒霧!霧がある日に拾ったし、黒髪だから!」
黒霧……。
「ファナにしてはいい名前じゃん。」
「私、黒霧がいい!」
此処に来て、初めて大声を出した。二人とも吃驚している。
黒霧……聞いたとき何かが私の頭に入った。この名前でないといけないと、聞こえたような気がした。
「じゃあ黒霧、食事中に話していた夢を詳しく話してもらおうか。」
食事中、記憶を失くす前の夢の話を少しした。
私は、詳しく夢のことを話した。【秘術】と言うと、二人ともおびえたような顔をした。なんだろうと思って話を止めると、気にしなくていいといわれた。
そして、全てを話し終えた。
「つまり黒霧の記憶は、記憶自身の意思で黒霧から離れたってこと?」
ファナが首をかしげながら聞いた。
「そうじゃないの?」
佐奈が答えた。
私は、秘術のことについて何か知っていないか聞いてみることにした。そしたら、二人とも……いや、この国にいる人全員知っていると答えてくれた。詳しい話しを聞こうとしたが、そのことについては知らないらしい。話すことを法律で禁止されているみたい。それでも何とかならないかと聞いてみたら、国に許可を貰えば話してくれるみたい。でも、今まで許可を貰った人はいないらしい。
「そうなんだ……。私、許可を貰いに行って来る!」
そういった瞬間二人が立ち上がって、
「「駄目!」」
と言った。理由を聞くと、この国にスパイが入国したと警告があって、しばらく外に出れないみたい。
「え、じゃあ私はどうなるの?」
「んー、警戒する前だったから平気じゃね?お前、まる三日寝ていたんだ。お前を拾ってすぐに警報が鳴ったけどな。」
言い終わった瞬間ドアが荒々しく開けられた。ドアをの方を見ると国のお偉いさんらしき人が入ってきた。周りには武器を持った兵士。
「伊波佐奈、ファナ・ミーチェ貴様等をスパイを匿った容疑で逮捕する。そこの女!こっちに来い。」
これから私はどうなるの?