Ⅰ
此処はどこ……?
『こんにちは。』
貴方は誰?
『私は貴方ですよ。』
私……?
『正確には貴方の記憶。』
だから私の記憶がないのか。
『はい。』
でもなんで私の記憶が私の前に現れるの?
『貴方の記憶……いや、私はとある秘術の元です。』
秘術……?
『はい。これを手にいれると…………』
え?何?何て言ってるの?視界がかすんで来た……。
Ⅰ
「大丈夫かなぁ……コイツ。」
誰かの声が聞こえる。
「多分大丈夫だと思うけど……。」
目を開けてみた。天井が見えた。どうやら私はベッドの上に居るみたい。
「あ、起きた?」
片目を隠している金髪の男の子?が目に入った。私の顔を覗き込んでいる。
「此処はどこ?」
「此処?此処は俺たちの部屋。お前、家の前で倒れてたぞ……?」
ベッドの近くの椅子に座った。すると、ポニーテールの茶髪、茶色と黒のオッドアイの女の子?が近くに来た。
「大丈夫?無理しないでね。あ、名前はなんていうの?ウチは伊波佐奈。」
「わからない……。」
二人とも顔を合わせて、記憶喪失?っていっている。私は、うん、と答えた。
「そっか。あ、俺はファナ・ミーチェ。ハーフだ。」
そう言って、ファナ君はどこかにいった。佐奈ちゃんが代わりに椅子に座った。
「ファナはご飯を作りに行ったよ。」
「そうなの?ファナ君って料理できるの?」
いきなり、佐奈ちゃんが笑い出した。私がムッとしていると、ゴメンゴメンと言って、笑うのを止めた。
「ファナは女だよ?まぁ、間違えるのも無理ないね。」
「えぇ!?ファナ君って女の子だったの?」
私はすっごい吃驚した。それを見て、また佐奈ちゃんは笑い出した。
「うん。そろそろご飯できると思うから、後でいろいろ話そうか。」
言い終わると同時にドアが開いた。料理を持っているのはピンクのエプロンをした、ファナく……ファナちゃん。
どうぞといわれて私もご飯を食べた。このときはまだ幸せな方だった……。これからこの三人でとても大きい事件を起こすことになろうとは……。