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第9話 何者

追記:若干の加筆を加えました。設定や物語の流れには影響しません。

 今月の「パーティー」もとい、「聖餐」の一日前。


 杉山邸での調査を終えた司は、すぐに神谷に電話を掛けた。兄姉の許可など得ている暇はない。彼が結人について何か知っているかどうか、まずは聞かなくてはいけなかった。


『……なに、園安結人だと!?』


 電話越しに神谷は叫んだ。

 曰く彼は、結人と共に「白装束の女」に襲撃されたことをきっかけに、結人の過去についても調べていたらしかった。

 どうやら司の知らない間に、「姉」は結人を「悪魔」とみなして追っていたらしい。


 ――それを教えてくれさえいれば!


 司は一瞬姉たちに憤りを覚えかけた。

 司に自分たちの得た情報を教えてくれないだけではない。高校に入って以降、司の学校での知り合いや地域での活動に関する情報も、一度も共有しなかった。

 ……だが、今はそれどころではない。


『3年前、水瀬市で行方不明になった高卒の青年がね、どうも園安君に瓜二つらしい

んだ……更に奇妙なことに、当時の卒業生たちはみんな、彼の名前を覚えていない。

いっぽう去年、園安君は繁華街で夏と冬に、それぞれ別の女の子と交遊していたらし

いが、彼女たちの知り合いによれば、『彼は社会人』だそうだ。ちなみに、その子た

ちは未成年で、学校へは通っていない。』

『どうも園安君は、交際相手に合わせて、高校生になったり社会人になったりを繰り

返しているらしい。』


 ――待てよ、それじゃ、どうなるんだ……?


 司は混乱する。

 

 ――3年前、結人先輩は水瀬市の高校を卒業してからすぐにまた、霧岡第二高校に入った……転入、じゃないよな。一回卒業してるんだから。


 そしてつい一年前までは、彼は社会人だった……しかし今は宿根高校にいる。

 そんな馬鹿なことが、あるのだろうか。


 ――ていうか結人先輩は確かに、最初から僕たちの『先輩』で……。


 一体、彼は何者なのだろうか。

 はるかの死に関わっているのだろうか。というか、去年交際していた二人と言うのも――


 ――いや、それよりも!


『――ごめんなさい、神谷さん。また後で連絡します。』

 司は返事を待たずに電話を切った。


 そしてすぐさま、愛本叶多に連絡を入れる。


 電話はつながらなかったので、ラインでメッセージを送る。


『今、何してる?』


『結人先輩って、最近様子変だったりしない?』


『次、いつ会うの?』


 質問が不自然なのはわかっていた。だが、そんなことは気にしていられない。




 数十分後、ようやく既読が付いた。


 ……そして一分も経たずに、ブロックされた。


 ――何も言わずに……?


 司は焦った。

 本人の意思によるものなのだとしても、意図が読めない……考えている暇はなかった。



 兄姉たちに助けを求めるしかない――()()()()を、使う時だ。



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