倒れる
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予定通りというか何というか、帰れたのはそれから4か月後だった。
もう過労死するのではと思いながら重たい身体を引き摺って愛車に乗り込み、自宅に向かえば部屋の前に長身の男が立っていた。
それが誰なのか分からなかったが、人の気配を察してか走り去って行った。
まさか、またドアノブに物がかかっていてそれを狙っていたのでは、と思って部屋に辿り着くとそこには見たことのない袋がぶら下がっていた。
それを寝惚けた目で見ていたら、隣の家のドアが開いたのが見えたのだが、俺の記憶はそこまでで、それ以降の記憶を残さないまま眠りについた。
次に目を覚ましたとき、何故か身体の半身が温かく感じそれにすり寄れば何故か頭上の空気が揺れた。
まるで誰かに笑われたような気配だと思い、目線を上に向ければそこには。
「やぁ、おはよう。よく眠れたようだな」
色気溢れる不知火の姿があった。
「え?!」
何事だと記憶を思い出そうとするも、それまでしか記憶にないことから部屋から出てきた不知火に寝落ちするタイミングで助けて貰ったのだろう。
「ここは俺の家だ。本日の早朝に君、家の前で倒れそうになってね。君の家の鍵が開いてないから、勝手ながら俺の家に招いて布団で眠って貰ったよ」
「そうだったのですね…すみません。ご迷惑かけて」
「いや、何。君があのまま倒れていなくて良かったよ」
優しく微笑む不知火にこの男、絶対に女性にモテるなと思いながら見上げていると俺の背中に回された手を離し、起き上がった。
「今日はゆっくりしてってくれ」