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ヒーローになりたかった  作者: レイ
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お礼

久しぶりに帰った自宅は埃っぽくて玄関をまっすぐに歩き、電気をつけ窓を開けた。

部屋の中は相変わらずサイドテーブルとベッドしかない。

キッチンには小さな冷蔵庫があり、その中には長持ちする水しか入れていない。

期限のあるものを入れておくと腐ってしまうので、それしか入れていなかったりする。

そういえば、長らく洗濯物を溜めていたんだったと鞄から洗濯物を取り出し洗濯機の中にいれて回し始め、その間にシャワーでも浴び、洗濯が終了して干した所でもう朝の5時を迎えていた。

濡れた髪もそこそこにベッドに入り込み、瞳を閉じた。

あぁ、やっと眠れる。



それから目を覚ましたのは翌朝の3時だった。

一体何時間寝ていたんだと我ながら呆れ、のそのそと動き水を飲みに行った。

折角の休みを眠っただけで終わらせてしまったことに何だか勿体なさを感じながらも、眠ったことで少し頭がすっきりしてたからまぁそれはそれで良かったかと思いながらまたよれたスーツを着込む。

さぁ今日からまた頑張りますか、と部屋を出て鍵を閉めようとすると外側のドアノブに袋がぶら下がっていた。

何だこれはと中身を覗いてみると、栄養ドリンクやちょっとしたときに食べられるお菓子が入っていた。

それとは他に何やらメモ紙が入っており、広げてみると。



『東堂君へ。

先日はありがとう。

弟の息子がお世話になった。

もし良かったら貰ってくれ。


不知火』



達筆な文字で描かれたそれに、気を遣わせたなと思いながら隣の締まっているドアを見る。

もしかしたら昨日のうちに持ってきてくれたのかもしれないが、俺が爆睡していたから気付かなかったのだろう。

これはこれでありがたく貰うことにしよう。

丁度今から朝食を買って会社に向かおうとしていた所だったし、これでコンビニに寄らずにまっすぐ行けると思いマンションを出た。

次はいつ帰れるか分からないが、もしまた会うことがあればお礼を言おう。

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