明日の朝までに
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不知火に俺の見た男の情報を伝えれば、何から腕を組んだまま黙り込んでしまった。
そんな中、話しかけることに対して躊躇してしまい、視線をさ迷わせた結果、机の上に置かれた脅迫文を見てみた。
どれも殺害を仄めかす文章ばかりだが、そこに書かれている日時は過ぎてしまっている。
もしこれがあると知らずに呑気に帰ってきていたらどうなっていたか。
特別怖いだとかそんな風には思わないが、寝ていた所を狙われたら気付くのに遅れて無事では済まなそうだ。
それよりこれをどうにかしなければ、新がいつまで経っても帰ってこれなくなってしまう。
早いところ決着を着けなければ。
「……あの、1つ良いですか」
恐る恐る問いかければ、不知火は視線だけこちらに向け頷いて見せた。
「この脅迫文と俺が見たという人物、不知火さんが見たという怪しげな車などについて不知火さんはどうお考えですか。無関係と思うかそれとも全てバラバラのことなのか。はたまた全て関係あることなのか」
「………そうだな。これはあくまで俺の考えだが、君が見たという人物と脅迫文は違う人物じゃないかと思っている。だが、脅迫文と車に関しては関係があるのではと考えている所だ」
「何故そう思われるのですか?」
「これに関しては、解決したときに教えてあげよう。今は先にこちらをどうにかすべきだな」
そう言って机にある脅迫文を掴んだ。
力強く掴んだせいで紙がグシャグシャになっているのが見える。
不知火も早く解決して新に帰ってきて欲しいのだろう。
「何、そう時間はかからんさ。君、今回は何日休みだい?」
「え、今日と明日ですが」
「なら、明日の朝までには解決しようじゃないか」
自信満々に言う不知火に、まさかもう目星がついているのだろうかと思った。
それならば明日の朝には本当に解決できるかもしれないが、なら何故もっと早くに解決しなかったのだろうか。
「こんなことで君が傷付いたり、大切な時間を割くなんて俺が許せないからな」
さらっと今恥ずかしいことを言われた気がするが、言った本人の表情がいつもと変わっていない。
今みたいな台詞は俺みたいな男に言わずに女性に言うべきだろう、と言いたいが言える雰囲気ではなく、心のなかで訴えるだけに済ませた。