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バックアップの男  作者: 桜井あんじ
警察局捜査官連続殺害事件捜査報告書
77/137

8

★昨日 午前十時六分 (ファイル番号08)



「おはようございます」

「おはよう。例のスタンリー・クラークソンの件、進捗はどうだ」

 俺がオフィスに入った途端、ダンはチェックしていた書類から目を上げて、単刀直入に切り出した。ダンの話し方はいつでもこうなのだ。

「まだ何も」

「そうか」

 ダンの太い眉が、微かに動く。

「だが、あまりのんびりとはしていられない」

 ダンは俺に小さな紙片を放ってよこした。見ると、意味をなさない数字とアルファベットの羅列が書き殴られている。

「これは?」

「奴の業務用端末の管理者用パスワードだ。システム管理部から特別に手に入れた。これがあれば、ネットワーク経由で端末にログインできるそうだから――」

「課長、失礼します」

 ダンの秘書がオフィスのドアをノックし、顔をのぞかせた。

「お話中に申し訳ありません。午後からの各課長定期ミーティングが、都合により午前十時半からに変更になりました」

 ダンは腕時計を見て、いまいましげに舌打ちした。

「仕方ないな。私は出てくるから、進めておいてくれ。奴は今日、業務研修会で夕方まで戻らないはずだ」

「分かりました」

 自分のデスクへ戻る途中、スタンリーの席に目をやった。彼はいない。今日は業務研修会とやらに直行なのだろう。

 俺は時間を確認した。午前中は取り調べがある。午後から取りかかろう。自分のデスクで連絡や雑用を済ませ、それから慌ただしく部屋を出た。

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