今日 午後六時三十九分 (ファイル番号59)
「スタンリー!?」
「動くな!!」
スタンリーは鋭い口調で命令したが、俺もダンも、むしろ驚きのために動けなかった。
「くそっ、そういうことか……」
ダンがホールドアップしつつ俺を睨む。
「知りませんよ。奴は死んだはずです。病院で、俺は遺体を確認したんですから」
俺の戸惑いが芝居でないと悟り、ダンは訝しげにスタンリーを見た。
「スタンリー、お前は一体……? ――まさか!?」
その時になって俺も思い当たった。極端に死を恐れるスタンリー。スタンリーが不正に得た金を投じていたのは――。
「民間会社の、バックアップサービスに加入しているんだよ」
ダンに銃口を向けたまま、スタンリーは得意気に答えた。
「……なるほどな」
ダンは一瞬、悔しそうに顔をゆがめた。しかし余裕の態度を崩さない。
「だが、そのために素敵なサイドビジネスをやっていたらしいじゃないか」
「なっ!」
スタンリーの顔色が変わった。まずい。スタンリーは所詮素人だ。ダンの言葉に動揺し、一瞬の隙ができた。銃口が微かに揺れた瞬間、ダンの右手がポケットに滑り込む!
「スタンリー!」
俺の声と同時に、銃声が響き渡った。




