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今日 午後五時四十三分 (ファイル番号27)
僕はドアの隙間からそっと様子をうかがった。部屋の中では、ランドルフがダンと話している。
僕は震える手で、胸元のホルスターから銃を外した。ランドルフの身に危険があるようなら、僕が援護しなければいけない。警察局職員として、支給された銃はいつも携帯しているし、一応、射撃訓練も受けている。だけどランドルフと違って内勤の僕は、バイオレンスには素人だ。訓練以外で発砲したことはないし、ましてや人間を撃ったことなんてない。それに比べてダンは、射撃の名手でもあるベテラン捜査官だ。正面から向かっていっても、到底勝ち目はないだろう。かと言って誰か応援を呼ぶわけにもいかない。例の件が表沙汰になれば、僕だってまずいことになる。
僕は緊張で汗ばむ掌を握りしめ、成り行きを見守った。強い雨が激しく窓を叩くせいで、会話の内容は聞き取れない。
だけど――。
どうもおかしい。これは一体どういうことなんだ?
二人は和やかに話している。その様子はまるで――、「仲間」そのものだ。




