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バックアップの男  作者: 桜井あんじ
バックアップの男
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今日 午後五時二十九分 (ファイル番号26) 

――勝算はある。悪い条件ではないはずだ。この男なら、きっと話に乗ってくる。

「……なるほど。平和的取引、というわけか」

 果たしてダンは、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

「ええ、そうです。悪い話ではないでしょう?」

 たたみかける俺の言葉に、ダンはしばしの間、考えを巡らせた。だがやがて、

「……いいだろう」

 と、ゆっくり頷いた。

「断る理由は、何もないな」

 俺は黙って頷き返す。

 静まり返るオフィスには、ただ雨音だけが響いていた。


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