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バックアップの男  作者: 桜井あんじ
バックアップの男
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今日 午前八時五十五分 (ファイル番号32)

 ラボではランドルフの復元プロセスが進行中だ。私は自分のオフィスで、今日の計画を練った。

 復元中のランドルフは、昨日使用したものと同じ、一昨日の朝時点のバックアップだ。昨日の記憶はない。だがランドルフの仲間は今日も生きている。私の秘密を握ったままで。

 まずはこの「仲間」を見つけるのが先決だと、私は判断した。可能性のありそうな人物を既にリストアップしてある。

 昨夜の私はどうやら動転していたらしい。凶器の銃は始末したが、ランドルフの財布を抜いておくことまで気が回らなかったようだ。おかげで現場の状況から、ランドルフ殺しは顔見知りの犯行ということになってしまった。だがそれは、かえって好都合だった。私はランドルフ殺しの捜査担当に、当のランドルフ本人を任命することにした。そうすれば捜査の名目で、リストアップした人物とランドルフを接触させられる。その様子をつぶさに観察すれば、誰が仲間なのかおのずと知れるだろう。


 可能性のありそうな人物は、三人いる。

 まず、最も疑わしいのはもちろん、あのスタンリー・クラークソンだ。

 情報漏洩の容疑をかけられていることにいち早く気づき、逆に探りを入れて真相を掴んだのかもしれない。あのぼんやりした男に、そんなことができたか疑わしいが。しかし状況から考えれば、この男を最有力容疑者と見ていいだろう。

 それから、ボリス・マッキンリーだ。

 私が情報を流すのにコンタクトを取っていた、あるマフィア組織の幹部と繋がりがあるのは知っている。幹部から私の情報を得て、ゆすりで小遣い稼ぎをしようと企んだのかもしれない。ああいう手合いの男の考えそうなことだ。

 そして、メグ・ブラウン。

 メグはエレンと親しい。エレンは以前から治療費のことで気をもんでいたから、親しい女友達であるメグに、そのことを何気なく話したかもしれない。そしてメグは、私がどこからか収入以上の大金を得ていると気づいた……。ありえる話だ。

 ランドルフが仲間と接触すれば、必然的に奴も秘密を知ることになる。しかし、構うことはない。切り札を手に入れておくのだ。後で役立つだろう。

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