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バックアップの男  作者: 桜井あんじ
バックアップの男
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今日 午前十一時三十七分 (ファイル番号24)

 足を止め、ショーウィンドウをのぞき込む。これだ、と思った。

 ピンとくるものが見つからずに困っていたところで、ちょうどその豪華な人形が目についたのだ。

 さっき思い出したのだが、今日はケリーの誕生日だ。いろいろあって忙しかったとはいえ、そんな大事なことを忘れていたなんて、とんだ失態だ。おかげで贈り物を急いで用意するはめになってしまった。

 入り口の戸を押して店に入ると、いかにも少女が好むような、かわいらしい小物が所狭しと並べられている。その雰囲気に気恥ずかしさを覚えたが、幸いなことに、この天気のせいだろう、店にはカウンターの店主以外誰もいなかった。

 俺は店主に言って人形を手に取った。値段を見て仰天したが……、あまり時間もないし、仕方がない。金額に見合う品質らしいから、まあいいだろう。豪華な人形は間違いなく彼女好みの品だ。その人形を抱いた彼女の愛らしい姿を胸に描くと、まったく金のかかる娘だと内心呟きつつも、自然に口元がほころんだ。

 店主に品物を包ませて代金を払った。渡された箱は、カラフルな包装紙に包まれている。俺は箱を小脇に抱え、幸福な気分で店を出た。危うく彼女を不機嫌にしてしまうところだったが、これなら彼女も喜んでくれるだろう。

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