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今日 午後二時十七分 (ファイル番号45)
「おい、スタンリー! どうした!?」
俺の大声を聞きつけて、近くの人々が驚いて振り返った。そのうち一人の初老の男が、遠慮がちに近寄ってきた。
「どうかしましたか」
「同僚が急に倒れて……、あっ」
「なにか?」
「アレルギーがあると話していました。もしかして、アレルゲンを食べてしまったのかもしれません」
俺はスタンリーを抱え起こしながら、空になった彼のランチボックスを顎で示した。
「それはいけませんね。救急車を呼びましょう」
親切な男は自分のモバイルを取り出すと、すぐに電話をしてくれた。
俺は最寄りの救急病院までスタンリーに付き添った。診断はやはり、アナフィラキシーショックだった。ナッツを食べたらしい、と医者は言った。ナッツのアレルギー反応というのはとりわけひどいものらしく、病院に運ばれて一時間もしないうちに、手当のかいなくスタンリー・クラークソンは死亡した。




