昨日 午後八時二分 (ファイル番号16)
「ハッピーバースデー、ケリー。今日で六歳だね」
俺がプレゼントの包みを差し出すと、ケリーの大きな瞳は星のようにきらきらと輝いた。
「開けていい!? パパ」
「もちろん」
ケリーがリボンを解いて包みを開けると、そこにはやたらゴテゴテと装飾のついたネックレスが入っている。はっきり言って派手なデザインだが、彼女はそういうのが好みなのだ。イミテーションの宝石にしては値が張ったが、金額に見合う品質らしいから、まあいいだろう。
「わあ! パパ、ありがとう!」
ケリーはすぐさまそれを身につけ、愛らしい姿を見せてくれた。思った通り、石の色は彼女の明るい髪と瞳によく似合っている。
喜びいっぱいに俺を見つめる彼女の瞳は、本物の宝石に劣らない。それなのにイミテーションの宝石でこれほど無邪気に喜ぶなんて、かわいいものだ。親バカと分かっていても、俺は自然に口元がほころぶのを抑えられなかった。
テーブルを挟んで向かい側にはメグが座っている。この派手好きで浪費家の妻から、どうしてこんなかわいい娘が生まれたものか。俺は気づかれないように、濃い化粧を施したその顔をちらりと見やった。




