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昨日 午後?時??分 (ファイル番号11)
足を止め、ショーウィンドウをのぞき込む。これだ、と思った。
ピンとくるものが見つからずに困っていたところで、ちょうどそのネックレスが目についたのだ。
さっき電話があり、それで思い出したのだが、今日は彼女の誕生日だった。いろいろあって忙しかったとはいえ、そんな大事なことを忘れていたなんて、とんだ失態だ。おかげで贈り物を急いで用意するはめになってしまった。
店に入り、カウンターの店主に言ってネックレスを手に取った。はっきり言って派手なデザインだが、彼女はそういうのが好みなのだ。値段を見て仰天したが……、あまり時間もないし、仕方がない。金額に見合う品質らしいから、まあいいだろう。石の色も、彼女の明るい髪と瞳によく似合う。それを身につけた彼女の愛らしい姿を胸に描くと、まったく金のかかる娘だと内心呟きつつも、自然に口元がほころんだ。
店主にネックレスを包ませて代金を払った。リボンのかけられた小さな包みを受け取ってポケットに入れ、幸福な気分で店を出る。危うく彼女を不機嫌にしてしまうところだったが、これなら彼女も喜んでくれるだろう。




