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バックアップの男  作者: 桜井あんじ
警察局捜査官連続殺害事件捜査報告書
124/137

55

★今日 午後五時四十四分 (ファイル番号55)



 それはどこかの家のリビングらしい。画面の中のケリーは、時々伸びをしたり部屋の中をキョロキョロ見回したり、落ち着かない様子でいる。

――悪い予感が当たった。

 俺はそっと目を閉じた。

「言う通りにすれば、ケリーは無事に返してやる。そういうことですね」

「その通りだ」

「約束してくれますか」

「ああ。君の記憶さえなくなれば、あの子に用はない。わざわさどうにかする意味もないさ」

 俺はしばし考えを巡らせた。確かにダンの言う通り、俺が条件を飲みさえすれば、わざわざ危険を冒して子供を殺してもダンは得るものがない。

「……分かりました」

 俺は体の力を抜いた。俺の負けだ。どんなものも、俺の天使には代えられない。

「では、一緒に来てもらおう」

 ダンはモバイル端末を胸ポケットにしまうと、俺を促した。だが俺は首を振った。

「一つだけ、条件があります。記憶の書き換えをする前に、ケリーに会わせて下さい」

「ケリーは安全な場所にいる。心配しなくていい。終わったら一緒に家に送ってやるさ」

「ですが、これがリアルタイムの映像だとどうして証明できますか? 実際は録画で、ケリーは既に殺されているのでは?」

「ふむ……」

 ダンは眉をひそめた。

「私は信用がないらしいな」

「今さらじたばたする気もありません。ケリーに会って無事を確認できればいい。そうしたら、あなたのシナリオ通りにやりましょう」

 ダンはしばらくの間考えていたが、

「……いいだろう」

 と言った。

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