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バックアップの男  作者: 桜井あんじ
警察局捜査官連続殺害事件捜査報告書
121/137

52

★今日 午後五時三十分 (ファイル番号52)



「バックアップ!? あなたも? ということは……」

「そうだ。殺されたんだ」

「なんですって!? あなたは俺を殺したんでしょう」

「ああ、そうさ。だがその後で、私も殺された」

「誰に……?」

 ダンはせせら笑った。

「君の申し出は私にとって、願ってもない話だ。断る理由はない。――昨日の私も、そう考えたはずだ」

「…………」

「だがその結果はどうだ? 取引に応じたにも関わらず、私は殺された。結局君は始めから、『取引』などと言って私を油断させ、背中からだまし討ちにする腹づもりなんだろう。そのために昨日も、仲間のスタンリーを待機させていた」

「知りませんよ! 俺は……」

「なぜそう言える? 君には昨日の記憶がないはずだ」

「ですが、少なくとも今日の俺には、そんなつもりはありません」

「昨日の君と今日の君――。同じ状況において、違う考えを持つなんてことがありえるのかね? バックアップとオリジナルで、性格や思考パターンが違う。そんなことが」

「それは……」

「強いて言えば、今日の君にはもう仲間がいない、という点が違う。しかしどちらにしろ、君の本心に変わりはないさ。あえて自分の不利になる秘密を打ち明けたのも、つまりそういうことだ」

「ダン、俺は……」

「黙れ」

 ダンは聞く耳を持たない。

「今日こそは騙されない。これは、昨日の私から今日の私への警告なんだ。私はそれに従う。そして違う結末で今日を終え、別の明日を迎えるのだ」

 ダンは手にした銃を見せつけるかのように少し持ち上げ、不敵な笑みを浮かべた。

「まあそういうわけだから、せっかくの提案は辞退させていただきたいね」

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