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★今日 午後十二時四十六分 (ファイル番号40)
コーヒーとサンドイッチの包みをカフェの女から受け取ると、俺はその時計店のショーウィンドウに近づいて、中をのぞき込んだ。
コーヒーを待つ間に何気なくショーウィンドウを眺めていた時、飾られていた腕時計が明るい日差しを反射してきらりと光った。それが、俺に思い出させた。今日はケリーの六歳の誕生日だ。いろいろあって忙しかったとはいえ、そんな大事なことを忘れていたなんて、とんだ失態だ。贈り物を用意しておかなければ。
店に入り、カウンターの店主に言って腕時計を手に取った。はっきり言って派手なデザインだが、彼女はそういうのが好みなのだ。値段を見て仰天したが……、あまり時間もないし、仕方がない。金額に見合う品質らしいから、まあいいだろう。
店主に腕時計を包ませて代金を払った。カラフルでかわいらしい包装紙に包まれた小箱を受け取ってポケットに入れ、幸福な気分で店を出る。危うく彼女を不機嫌にしてしまうところだったが、これなら彼女も喜んでくれるだろう。




