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一話 白い空間……だと!?(クワッ)

よろしくお願いします!

 死んだ?


 死んだよねこれ?絶対これ死んでるよね?


 だって猫助けようとしてダンプカーに突っ込んだもの。ここ白い空間だもの。これがかの有名な白い空間かー……。遠近感が全然掴めないんだね。


「さまよえる魂よ……」


 うわっ!びっくりした!


「さまよえる魂よ」


 これボクを呼んでるのか?いやでも実は別の人呼んでてボクが反応したらめっさ恥ずかしいな。

 知らない人から「よっ!」って言われて「お、おう」って返事したら後ろの人に挨拶してた、みたいな感じになったら嫌だしなー。

 あれトラウマだよね(笑)。


「あの……さまよえる魂よ」


 早く返事してやれよ〜さまよえる魂ィ〜。


「あ、あの……あなたです」


 ほら〜気まずい感じになってんじゃん。


「いや、だから……佐藤さん……あなたですよ」


 ビックリした!俺と同じ名字かよ。まぁ佐藤なんでいくらでもいるか。リアルに鬼ごっこするくらいだし。


「……何言ってんですか?」


 あれ?これもしかしてボクか?


「もしかしなくても貴方ですよ……」


 あらま。


「あらまじゃありませんよ。もー」


 どこからとも無く声がする。


「その通り。今私は別次元から話しかけております」


 へ〜………………こっちかな?


「あ……いや、ちょっと。何してるんですか?そっちには何も無いですよ?あっ、ちょっ……何も無いって!本当に何も無いってば!白い布なんて無いから!めくらないで!ダメだって!あーーーーーっ!!」


 なんかいた。


「何かってなんですか!何かって!」


 そこには紫色の綺麗な髪を腰まで伸ばした美女がいた。妖艶な色香が漂っている。男好きしそうな豊満な胸と腰まわり。そこから伸びるすらりとした四肢。出るところは出て、しまるところはしまっている。まさに美の女神の体現か!


「うっわ……キモッ」


 酷くない!?って聞こえてたんですか?喋ってるつもりなかったんですが。


「はい。今のあなたは霊体、体のない魂だけの存在です。いわゆる精神体です。全て筒抜けですよ」


 はっず!!恥ずかしすぎる!!えー、死ねる。ってもう死んでたかー(笑)!


「何お一人でされてるんですか?」


 なんでもないです。あ、確認ですけどボクってもう死んでますか?


「定義ににもよりますが正確には死んでません。あなたは、と言うよりあなたの体は病院のベッドに横たわっていますよ」


 え、助かるの?


「いいえ。死んでいない、と言うだけで脳死状態にあります。魂が戻ったところでまず助からないでしょうね」


 へ〜、そっか。


「あまり驚かれないのですね」


 そりゃショックだけどさ。ボク両親いなくてさ。天涯孤独ってやつ?それに何か実感が湧かなかってさ。

 あ、そうだ。あの猫は?生きてる?


「さぁ」


 さぁって。おい!女神さま!女神(笑)って呼ぶぞ!


「全ての生物を逐一ずっと見ているわけがないでしょう。どこぞの暇人ならともかく、私はそんなことしていません。私の管轄外っていうのも関係ありますが」


 あー、そうなの?


「そうです」


 そっかー。気になったんだけど仕方ないのかな?

 っていうか、何でボクはここにいるの?


「……そうでしたね」


 忘れてた?


「コホンッ。ではご説明いたします」


 あ、スルーされた。


「あなたは幸運なことに2つの選択肢が与えられました。1つ、このまま輪廻へ加わり、魂の浄化の後に次の生物に生まれ変わる。2つ、別世界に行き生を謳歌する。この場合魂の浄化が行われないので記憶は継承されます」


 ほー、なるほど?これって死んだ人みんな聞かれるの?


「いいえ、あなたの魂は形、色、艶、透明度、大きさ、そのどれもが美しかったため僭越ながら抜擢させて頂きました。あなただけですよ」


 ……なるほど。2つ目の選択肢はボクだけか。女神さまのメリットが見えないんだけど?


「難しく考えないでください。要はボーナスステージです。私があなたを気に入った。()()()()()は優遇したくなものでしょう?」


 ふーん。お気に入り……ね。


「何かご不明な点でも?」


 やって欲しいこととか本当に無いの?


「いえ、特には。強いて言うなら長く生きて欲しい、くらいでしょうか。お気に入りは長く見守りたいものです」


 キモとか言ってきたのにお気に入りなの?


「あれは素直に気持ち悪かったです」


 あ、はい。すみませんでした……。あれ?霊体なのに涙が……。


「別世界への転生の件、承諾して頂いたと受け取ってよろしいでしょうか?」


 うーむ……。あ、そうだ!


「いいですよ」


 え、まだ何も……。


「チートというやつでしょう?いいですよ。お付けしましょう。ただし、僭越ながら私が決めてもよろしいでしょうか?」


 えー?何でまた?普通ここはボクが決める所じゃないの?


「そちらの世界の常識で考えない方がいいですよ。全く別の法則で動いている世界なんてざらですから。優秀に思えるチートでも向こうの世界に行ったら使い物にならない、なんてことになりかねません。そのチートのメリット、デメリットを熟知する私に任せた方がお得ですよ」


 あー、そうなの?んー……。


「さきほども言いましたが、お気に入りは長く見守りたいのです」


 ……ん、了解した。なら頼もうかな。お願いします、女神さま。


「承りました。ではあちらに到着し次第、“チート閲覧”と命じて下さい。能力が分かるようになっております」


 今教えてくれないの?


「その方がお好きでしょう?」


 うん、確かに好きだ!


「ではそろそろ転生させて頂きます。転生直後は記憶の混濁が多少生じますが、すぐにおさまります。御留意ください」


 おけ!あ、なんかスーッと意識が薄れてきた。麻酔射たれた時みたいな?


「では、良い人生を」


 ああ!ありがとう!女神さま!

 
























「アハッ! 私、女神なんかじゃありませんよ!」




 ……へ?



「私はバリテス。以後お見知り置きを」


 えええあえあええええええああぇぇぇぇぇぇぇぇええええ!!!!?!?!?!?



 そこでボクの意識は途切れた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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