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プロローグ編2

「おい。見習いの兄ちゃん」

外から僕を呼ぶ声がする。

この声は隣に住む元王国剣士のおじさんだ。

名前は確かザック=ハンドレッドだったと思う。今は奥さんと15歳になる1人娘さん(確か王立院で最高学位だったと思う)の3人で暮らしている。おじさんの話によると娘さんは魔術師レベルは4.剣士としても親を超えたらしい。

王立院に通う学生でレベル4は驚異的である。普通は1〜2である。

また、闇魔術師は何も必要なく魔法を使用することができるがそれ以外の一般の魔術師は王国(暫定政府)から与えられた魔術師のネックレスのようなものが必要になる。魔術師の証がなければ、闇ではない魔術師はただの人になってしまう。

僕も魔術師の証があれば魔法を使うことができるかもしれない。使えるかどうかはその人の資質にもよる。天才的な場合は最初からレベル5以上のときなどがある。

ほぼありえないので可能性はないのではあるが・・・


「あっ、おはようございます」

僕は下に降りて、おじさんに挨拶をする。

「見習いの兄ちゃん。あんたは王立院にいかねえのかい?」

王立院には僕は通う事ができない。

「いやあ、勉強とかには興味ないし、生活の資金だけで精一杯なんすよ」

王立院に通うには暫定政府から発行される公的な身分証明書(戸籍みたいなもの)が必要になる。僕は自称剣士見習いのアルス(13)である。自称なので公的な身分証明書など存在しない。だから通う事はできないのである。

「なるほどねえ。見習いの兄ちゃんも大変なのかい」

「うん。今を生きるだけに精一杯ですね・・・・」

「そうかい。まあな。その精神を忘れちまったうちの娘には兄ちゃんのそれを教えてもらいたいよ」

「あははははは・・・」

僕は苦笑いする事しかできなかった。

「しかしなあ、娘が昔遊んでいた友達も戦乱のさなかで今はそうなっているかわからねえ。

数年で本当にかわっちまったよ・・・・この王国は・・・剣士してたころが一番良かったよ・・・」

そういうとおじさんは自宅に入って行った。

・ ・・・小さい時に遊んでいた友人かあ・・・

僕が王宮にいた時は確か同い年の2人とあと年上の1人とよく遊んでいた記憶がある。

今、どうしてるだろう。同い年の黄色い髪が特徴だった王族マージナル家の1人娘ファム=A=マージナルと赤い髪が特徴的な貴族出身の王族アームズ家の1人娘ラーラ=T=アームズ。

たぶん、かなりの可能性で戦争で殺されてはいるだろう。

生きているとしたら、身分は明かせないから、僕みたいな生活をしているかもしれない。

しかし、僕みたいなはぐれものは近くにはそうはいない。4年間暮らしてきたけど・・・

ほとんどの感想は「兄ちゃんぐれえだよ。学校にもいかねえのは」という内容である。

・・・・・


「さてと今日も何しようかな・・・」

僕の1日はこの言葉から始まる。終わりのない日々かもしれない。

打破することはできないのかな・・・・

・・・・!!!!

ファムとラーラが生きている可能性にもかけてみるか???

そうすれば王族再興のチャンスができるかもしれない。憎き闇魔術師を倒せるかもしれない。

可能性があるなら行動に移すべきかな。

僕はどう行動するかを考えることにした。


旧アーベル王国 首都  サージ

サージ王立院

10歳から15歳までの子供が通う学校。無論、ほとんどの子供は通うことになるが身分証明書のない子供は通うことができない。


「サラ。今日も1番じゃんか」

王立院最終学年の教室。最終学年のあとはサルベルト王国にあるサルベルト魔術院に行くか、そのままアーベルで生活をしていくかの選択になる。サルベルト魔術院には世界各国からエリート魔術師が来るため、サージ王立院からは最高でも1名(主席)しか行くことはできない狭き門である。

「別に関係ないよ」

そういって、教室に張られた掲示板の前からさっと自分の机に戻る。

彼女の名はサラ=ハンドレッド(15)。王立院の主席であり、その美貌とスタイルで3年連続王立院女王ランキングも1位である。彼女の家は元剣士。主人公のアルスが住む隣にすむおじさんの1人娘である。しかし、アルスとは面識はない。彼女は主席という立場もあり、家にいるときは勉強をしていることがほとんどだからである。魔術師レベルは王立院最高レベル3を越える4.剣士としても11歳までは元剣士の親に鍛えられていたので強いということ。国が崩壊してからは剣士ではなく魔術師になるため、剣をもつことはなくなった。

「関係ないかあ。私もさあ主席の座狙ってるんだけど・・・・主席までのポイントはええとあと12Pだよ」

というのはショートカットのミウル=サブジェクト(15)。彼女の魔術師レベルは2であるが、頭の良さは抜群で旧王国の事も博士号を取れるぐらい詳しい。いわゆる旧王国マニア。

彼女の家は商業人なので剣士としては期待できない。現在、主席のサラに告ぐ次席の座にいる。

「12Pなんて、どうがんばっても卒業までで追いつくなんて不可能よ」

「まあ、そうなんだけどね。今年の主席はサラに決定だもんね」

「卒業までは魔術師としてのレベルを上げるだけだから・・・」

「あと12ヶ月もあるよ・・・」

「12ヶ月でなんとかレベル5にはなりたいよ」

「5かあ、私には到底不可能な世界だなあ」

「そんなことないよ。努力しだいだよ」

そういってサラは笑う。

「でさあ。サラの近くに住んでいる少年の話なんだけど・・・」

無論それはアルスのこと。

「興味ない」

そういってサラは机から「魔術士への道」という本を取り出す。

「興味ない?けど、さっき見たけど、サラのお父さんと仲よさそうに会話してたけど」

「私には関係ないよ」

サラは話に入ろうとしない。

「頑固なその性格治さないと、男の子にはもてないよ」

王立院女王ランキング3年連続1位のサラにその言葉を言えるのは彼女だけかもしれない。

王立院女王ランキング3年連続2位である彼女だけ・・・・

「別にいいよ」

「まあ、サラがそれでいいならいいけど。彼さあ、私が調べた内容によると年齢は13歳。親は元剣士で戦争で殺されて、その遺産で今は暮らしてるらしいよ」

「それくらいは私だって知ってる。お父さんに何度も聞いた」

「・・・・そうなんだ。さすがは主席だね・・・・」

「けど、ミウル。不思議に思わない?」

サラは読んでいた本を机の上に置く。

「????」

ミウルは不思議そうな顔をする。

「親の遺産だけで何もせずに4年間過ごすなんて到底無理だと思うよ」




「なるほどねえ」

僕はいい案を考え付いた。おじさんの娘さんを利用してファムとラーラを探してもらうんだ。もちろん、王立院に通っているかどうか聞いて、いたら、おじさんの娘さんにお願いしてあわせてもらう。王立院に通うほとんどの子は王立院内の寮で過ごしているから、王立院から外に出ることはあまりない。例外で王立院近くの子は家から通ってるけど、半径500m以内という厳しい制限がある。

そうなら、いざ行動行動。

僕はおじさんに話しをして、娘さんに夕方帰ってきたときに合わせてもらうことになった。

あわせてもらうというか、帰ってきたときをまちぶせ見たいな感じ。


夕刻になり、そろそろおじさんの娘さんが帰宅する時間。

「・・・今日も疲れたなあ〜」

疲れた表情をした長い黒髪の女性がおじさんの家に歩いてきた。

見た目からたぶん、娘さんだろう。

「よっ・・・」

声のかけかたが良くわからなかったがとりあえず、かけてみる。

「・・・・なんですか??」

彼女は不思議そうな目で僕を見る。

そりゃそうだなあと僕も思う。

いきなり、よっ・・・はなかった。

「ええと、王立院主席のサラ=ハンドレッドさんですよね」

「はい。そうですけど。何か用ですか?」

サラさんは苦笑いしながら立ち止まってくれた。

「僕なんですが・・・サラさんの自宅の隣に住む。アルスと申します」

とりあえずは自己紹介からだ。

「あっあ。そうなんですか・・・(今日話してた人かあ・・・)」

サラさんは苦笑いのままである、不信感丸出しだろう。

「で、協力してもらいたいことがありまして今回は声をかけたんです」

こういうことには僕もなれないのでぎこちない。

「ごめんなさい。忙しいんですよ」

そういうとサラさんはニコッと笑い自宅の中に入っていく。

「・・・待ってください」

僕はサラさんを止めようとサラさんに駆け寄るが・・・

「しつこい男は嫌われるよ。ダムド!」

振り向きざまにそういわれ・・・

「ドン!!!!」

衝撃音とともに僕は10mほど飛ばされた。

※ ダムドは低級魔法で空気を圧縮させていっきに破裂させる魔法。殺傷力は低い。


「・・・・・いたたたああああ」

・ ・・・さすがに痛いよ。

僕が着ていた服は10m飛ばされてズボンは破れてしまう。

幸い紋章がある右腕の洋服は破れはしなかった。

けど、ここで諦めるわけにはいかない。

体中を打撲していたかったけど、僕は立ち上がり。

「協力してくれるだけでいいんです」

叫んだがサラさんは既に自宅の中にいたため、何の意味もなかった。

そのときだった。サラさんが家の中から出てきた。


奇跡が起きたのかもしれない。



「わかった。話ぐらいは聞く」

そういって不機嫌そうな感じではあるが、僕に話をかけてくれた。

「本当ですか?有難うございます」

第一関門はこれで突破した。

「けどさ。先に私のお父さんに話してるんなら、そういってもらえないかな?」

サラは怒った口調で僕にそういってくる。

「すいません」

謝るしかない。

「逆に私がお父さんに怒られたでしょ」

「すいません」

「まあ。もういいよ。でさあ、本当になんのようなの?」

僕の目的は王国院内でファムとラーラがいないか探してもらうことである。

「ええと、サラさんが通う学校に髪の毛が赤い子と黄色い子とかいませんか?」

「・・・・学院はさあ。6学年で500名以上いるのにそんな具体性のない情報じゃわかるわけないでしょ」

「名前はラーラとファムだとおもいます」

名前は偽名の可能性もあるからあまり情報としては役にはたたないだろう。

「そう。私が知る中では赤い髪の子は同学年にいるよ。名前はララかな。黄色い子は4学年にいたと思う。それ以外はわからないかな」

・・・・かなりの可能性で僕が探しているラーラとファムだろう。この世界の人々の髪の色はほとんど黒系であり、黄色や赤の髪の色の子など0に等しいほどなのである。

「そうですか。ありがとうございます」

「うん。これでいいのかな?」

これで良いわけがない。

「できればもう少し協力してもらいたいんですけど・・・・」

立場上、強くはいえない・・・。悲しいものである。

「無理かな。協力して欲しいんならさ。君の名前他とか目的とか教えてよ。協力だけしてもらおうなんて甘いよ」

・・・・確かにその通りかもしれない。さしつかえがない程度はいうしかない。

「そうですね。僕の名はアルス。剣士見習いの13歳です。親は戦争でなくなって今はその遺産で暮らしています。ええと、どうしてもラーラとファムには会いたいので王国院内に詳しいサラさんに協力をお願いしようかなと・・・」

「剣士見習いかあ。うん。けど、協力はここまでかな。嘘の身分をいう君に協力するつもりはないよ」

・・・これ以上。本当のことを言うことはできない。

「嘘じゃないです」

ただ僕はそれだけしか言えない。

「疑問点があるよ。元剣士の遺産だけで4年間何もせずに暮らすなんて不可能。現に私の家も元剣士だけど、両親は今は商業をやることで生計を立ててる。剣士のお給料なんて、たかがしれてる。そのときの生計を立てるだけで精一杯」

旧王国時代の剣士の月給は約1200G(日本円で12万円前後)である。確かにその通り。

「あと1つ。君ぐらいの年代であれば、別に親がいなくとも王国院に通うはずだよ。王国院は国が全部負担してくれるからただ。だから、ほとんどの子供たちが通ってるのに君は通っていない。生活はできてるのにかよっていない。公的な身分証明書がないから通えない。ということは身分を偽ってる可能性がある。これは嘘ついてることになるね」

・ ・・・さすがは王国院主席だけある。完璧に読まれている。けど、堂々と僕は元王子なんていうことはできない。他に密告されれば僕はすぐに暫定政府につかまり死刑になるから


万事休す。


「なにもいえないんだね」

けど、ここで諦めるわけにはいかない。僕がここで前に進まなければ、意味がない。

僕がこの世界に存在する意味もない。

「言えないです。だって本当のこといってるから」

「・・・君もさあ。頑固だね」

「じゃあ。僕がサラさんに勝ったら、協力してくれますか?」

相手は王国院主席で魔術師レベル4.普通で戦えばかなう相手でもないし、剣士としても並以上の強さだろう。けど、僕も2歳から9歳までは剣を学んできた。自信があるといえばうそになるが、ないわけではない。

「・・・馬鹿。なんの勝負するの?」

「1対1で剣で勝負しませんか?勿論、魔法もありでいいですよ」

「う〜ん・・・。いいよ。けど、後悔しないようにね」

「後悔することなんてあとで考えます。今は戦うことのみ考えます」

「じゃあ。いくよ」

「いいですよ」

勝ち目ゼロの戦いが始まった。


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