プロローグ編
第1回
アルファス 第1回
世界は何のために存在し、僕は何のために生きているのだろう?
この世界に僕が生まれてきてもう13年になる。
その13年の間に世界は大きく変わった。
僕が生まれた世界。それは剣と魔法によって成り立っている世界。
世界は多くの剣士や多くの魔術者たちにより平和を保たれてきた。
しかし、数年前にその保たれてきた平和もあっさりと終焉を迎えた。
世界で一番の勢力をもつ魔術王国サルベクトが僕がすむ国である
剣士最大の国アーベルを攻めたからである。
魔術の大国サルベクトと剣士の大国アーベル。
この戦争はサルベルトをクーデターで手に入れた闇魔術集団が一方的に起こしてきた。
魔術士対剣士となったこの戦争は世界を二分したものになった。
しかし、最初から結果はわかっていた。
剣が魔法に勝つことはない。
予想通り、サルベルト側がアーベル側をあっさりと征服し、今まで保たれてきた均一な平和は終わり・・・・・・
魔術師(闇)中心による世界が始まった・・・・
旧アーベル王国 首都 サージ
僕の名前はアスファル=R=アーベル。13歳。
通称はアルスと名乗るようにしている。
僕がすんでいる国は戦争により大敗し、4年前に王様が殺され、事実上崩壊した。
現在は無政府状態ではあるがサルベルトから派遣されたハングライト長官(魔術師レベル6)により一応の形は統制されてはいる。
※魔術師レベルは1〜10まであり、数が多くなるほどレベルが高くなる。
ほとんどの魔術師が1〜4にあたり、
戦争で崩壊した旧剣士系国を治める長官が5〜7.
8〜10はサルベルト王国を統制している闇魔術集団(通称BK)
の魔術師となっている。
実は僕は旧アーベル王国の王子にあたる。
ほとんどの剣士系王族は魔術師系王族により殺されている状況で剣士最大の国であった僕が生きているのはほとんど奇跡に近い。
僕以外の旧アーベルの王族の生き残りはいない。
僕は戦乱のさなかに運よく街中に逃げ込み命を落とさずにすんだ。
この4年間は元王子という肩書きは隠し、アルスという名前で町の中で暮らしていた。
幸い王族と町民が接する機会はほぼなく、僕の王子としての名前は有名だったが顔は有名じゃなかったので溶け込むのは簡単だった。
しかし、本当に王子なのかといわれたときには王子の証であるペンダントを見せればいいのだが・・・・・・・・・
戦乱のさなかに僕は死んだことになっているのでなかなかその機会はない。
王子ではなくなった今・・・・
僕はただ生きているだけだ。
意味あるのかな?
生きていていいのかな?
僕は時々自分に問いかけて、自分を責めてしまう。
この世界に僕は存在しないことになっている。
けど・・・生きているんだ・・・
「はあああ・・・もう朝かあ」
僕が今すんでいるのは旧アーベルの首都であったサージである。
崩壊前は剣士たちによる剣闘士大会なども開かれて、
本当に剣士の国というイメージだった。
しかし、崩壊後は魔術者たちによる統制で剣闘士大会などは開催を禁止されたり、アーベルでは上流階級であった剣士の階級が大幅に下げられるなど・・・
剣士にとっては住みにくい国になった。
無論、元王子の僕も崩壊前までは最高階級であったが、
身分を偽っていることもあるけど、
今の身分は王族ではなく剣士見習い(剣士を目指す子供)。階級は下の下である。
僕が住む家は一応1戸建てではあるがところどころ雨漏りがする古い建物である。
13歳の子供が1人暮らしをしているとなると不思議に思われるかもしれないが・・・・
僕の親は元剣士。
両親ともども殺されて、その遺産で暮らしている・・・ということになっているのでそこは問題はない。
事実、旧王族の遺産はすべて僕が逃げ込んだ際にお金は隠して逃げた。勿論、逃げた際に殺された執事からもらった遺産メモも元に探し出したのではあるが・・・・
現在でもその遺産は莫大な金額になる。勿論、昔は剣士が統制する最大の国だったから。
「さてと、今日も何もすることないかあ・・」
僕はそういうとベットから降りる。
今のぼくの身分は剣士見習いだ。普通の10〜15歳は近くにある王国院(学校)にかようのだが僕は確実な身分を証明できるものがないため通うことができない。
ただこの4年間は過ぎていく時間を流れていただけなのかもしれない。
続く