ー第三章 憂鬱なすれ違いー 【6】
自分の小説に泣くって、変ですか?
あ、変ですか。
・・・遠くに誰かが見える。あぁ、またこの夢か。
昔の俺がそこにいた。笑いあえていたはずの友からの暴力。それを必死に絶えている俺がそこにい
た。これが随分リアルな夢なんだ。痛みを感じるくらい。
・・・あぁ、そうか。これは今もまだ残ってる、俺の心の痛みだ。まだ捨て切れていないのか…。
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気がつけば俺は保健室のベッドで寝ていた。よっ、と体を起こそうとしたが、まだ体の痛みは抜け
ていなくて、
陸「痛っ。。。」
起き上がることを諦めて、またベッドに身を任せ、考え事をする。
陸「あぁ…そういや、気絶したんだったな。」
愛音を怒らしたんだった。俺も素直すぎるこの口どうにかならないかな。なんてことを考える。
せっかくの久しぶりの自由な時間なんだから、また寝るかな…。でも寝汗かいちまって気持ち悪
い。なんか眠れない。暇なので少し考え事でもしてみようか。 それにしても…
陸「あいつはどっか行くときも帰ってくるときも、……俺を待ってたときもいっつも突然だな。」
愛音「えへへー。その方が驚くでしょ?」
陸「…っっ?!」
バッと体を起こし声のした方へ視線を向けると、いたのはもちろん愛音。ドアの開閉の音もしてい
なかったので、彼女は初めからそこにいたらしい。一生の不覚。気づかなかった…。
陸「痛っ!」
愛音「あー派手の壁にぶつかったんだから、まだ安静にしてなきゃダメだよ。」
そう言われ、また枕へ頭を戻す。どうやら頭も打っていたらしい。少しクラクラする。ていうか…
陸「俺を派手に壁にぶつけたのはどちら様ですか。」
愛音「・・・・・・・・・ごめん・・・」
小声で非常に申し訳なさそうに言うもんだから、こっちも悪いような気がしてきて、
陸「まぁあん時は素直に言って悪かった。ごめんな。」
愛音「うん。次言ったらこんなんじゃすまないんだから。」
陸「分かった、これから気をつけるよ。」
愛音「うんっ。じゃあこれで仲直りってことで!」
陸「ああ、そうだな。」
――それから、しばらく沈黙が続いて、愛音が先に口をあけた。
愛音「これでやっと、落ち着いて二人で話が出来るね。」
陸「あぁ………そういえば、なんで愛音は急に日本に帰ってきたんだ?」
愛音「え・・・・・・・・」
悪気はないつもりで聞いたんだが、なかなか言葉を発してくれない。そう思っていると彼女は何か
作った笑顔でこう言った。
愛音「……知り合いのお葬式。どうせだから留学打ち切り!って感じで。」
陸「……そうか。」
このときの俺には分かった。だって、愛華さんが亡くなったってのは、もう母さんから聞いてる。
それと、もう一つ。俺に向けられたその笑顔は、ただの強がった、偽者の笑顔だってことを。
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ー第三章 憂鬱なすれ違いー 【7】 へ続きます
陸は鋭い。