表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/24

ー第二章 君が笑ってたからー 【5】

愛音の過去ラストかも。



  ――陸君とまた会えれば私はもう一度笑顔を取り戻せる?


  そう自分に問うと自信のある答えは出てこない。もう自分の笑った顔を忘れた。どうやって笑えば


  いいのか分からない。自分が何なのかさえわからないほどに、私は泣くことに疲れていた。


______________________________________________


  

  留学してもう少しで5年ほど。事件は起こった。


  お母さんは急に倒れた。悪魔だと思っていた人が倒れた。あの人に向かって、どんな顔をすればい


  いのか分からない。私はお父さんに連れられ、お母さんのいる病院へ来た。


  そこで見たお母さんは想像を絶するものだった。


  お母さんはもう、死にそうなくらい衰弱していた。


  自然に笑うことは出来ないけど、愛想笑いは得意。お母さんを元気付けようと、ベッドで寝ている


  お母さんに笑いかけた。お母さんは私にこう言った。


  愛華「愛音、無理やり留学させてごめんね。留学はいいって聞いてたけど、そうでもないみたい。


  だって、あんなにかわいらしい子供の笑顔を奪ってしまったんだからね・・・。」


  お母さんは泣いていた。その瞬間、思い出した。留学する前、私にとってお母さんはどんな人だっ


  たか。私が陸君に会いたいと言えば、優しい言葉をかけてくれた。そういえば、私と陸君を許婚に


  してくれたのは他でもないお母さんだ。私は今まで何てことを思っていたんだろう。そう思ったけ


  ど、涙が出てこない。泣きすぎた私にとってその衝撃は形に出来ないものだった。お母さんは私に


  こう告げた。


  愛華「愛音。あなたの笑顔は誰をも幸せにするの。もしあなたが陸君ともう一度会ったときその時


  あなたはずっと笑顔でいてあげて。そうすればきっとあなたも幸せになれる。私はあなたの笑顔が


  大好きよ。それを奪ってしまったことをとても後悔してる。出来ることならもう一度見たい。愛


  音、私を笑顔で見送ってね。」


  そう言うと、彼女は急に苦しみだした。そして最期に、


  愛華「あ、そうそう。お父さん。私の葬式は日本であげてね。」


  そう言って、母は息を引き取った。少しだけせっかくの雰囲気を壊して、彼女は天に召されていっ


  た。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1. 「この作品」が気に入ったらクリックして「ネット小説ランキングに投票する」を押し、投票してください。(月1回)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ