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ふむ、少しばかり先走りすぎたであるな。
いかんいかん。まだ人一人見つかっておらぬのだ。
我の野望を語るには性急すぎた。
よし、我にふさわしいパートナーを見つけるとしようか。
しかし、物寂しい所であるな。
こんな所では、パートナーどころか虫一匹探すのも一苦労である。
はぁ、仕方あるまい。
これも野望のため、いざ、参る。
う~む。
先ほどから数刻ばかり移動をしておるが、なかなかこれといった者がおらん。
熊に兎にムカデ。
う~ん、熊はともかく兎とムカデはないな。
それに、やはり動物はどうしようもなくなったときにでもならなくては、あまり気が進まんな。
出来れば、知性を持つ神や人間などが好ましい。
しかし、見たことのない生き物がちらほら存在しておるな。
興味深い、実に興味深い。
我、関心。
それにしても、我が存在しているということは、他の大いなる意思たちもこの世界に存在しておるのだろうか?
もし出会うことになったとしたら……
また、戦うことになるのであろうか?
もう、あの世界のルールや理に従うこともあるまい。
もはや、存在意義を賭けて戦う必要どこにもないのであろうが、あの戦いで多くの負の感情が生まれたのだ。
戦う理由がなくとも、復讐に取り憑かれた意思もあるかもしれん。
我としても出来れば争いたくはないのだがな。
いや、今考えていても詮無きことか。
時が来れば自ずと答えも出よう。
今は、あるかも分からぬ未来より、目先の問題である。
我の心を穿つような者がおらんではないか!
もうどれ程時が経たのかも分からぬわ!
もういっその事、熊にしてしまおうか……
いやまて、早まるな。
遠くない未来、後悔する光景しか浮かばぬ。
やはり真剣に考えねば。
我、吟味。
それからさらに時が過ぎた。
我は限界であるぞ。
もう、疲れたのである。
しかし、まだ我にふさわしいパートナーが見つからぬ。
これは覚悟を決めるしか……
ぬ、あれは……村か!
おおっ、村があるぞ!
人がおるのか?!知性を持った生き物が!
待っておれ、我が今行くのである。
愛しきパートナー!
おおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ
走る、走る。
我、爆走!
村にたどり着くには着いたが……
人の気配がない。
もはや、廃村であるな。
これは、外れか?
「何者ですかっ?!」
むおっ!
これは、人の声?!
やっと、出会えた。
我はわくわくしながら振り返る。
「まるい?なんか眩しい。これ……なんですか?」
我の目の前には、可愛らしい少女がいた。