5 好きだから、、、
「何?2週間の有給休暇だと?君はこの前とったばかりじゃないか?
駄目だ駄目だ!今の時期忙しいんだから」
「わかりました、、、でも課長、、、夜の一人歩きは
、、、気をつけてくださいね、、、ひひひひ」
みずきさんは今課長と打ち合わせ中だ。
2人とも真剣な顔をして何やら論議をしている。
ビックプロジェクトでも立ち上げるのだろうか。
そして自分の席に戻ったみずきさんは
またまた俺の方を見て微笑む。
くーその笑顔を見るためだったら俺はどんなことでもします!!
「あなた、私の頼みを聞いてくれる?」
「はいはいはいはーい!!もちろんです!みずきさん!」
「そう、、、あたりまえよね!それから私のことは
ちゃんとご主人さまって呼べって言ったでしょ!」
みずきさんはスタンガンを取り出し俺に押し当てる。
いててて!痛かったが、俺が間違った言葉つかいをしたんだから
当然の報いだ。みずきさんが怒るのも仕方がない。
「今度あなたと旅行に行くじゃない?それであのくそ課長に
有給休暇をくれって言ったら断られちゃって、、、
私は足の病気の療養に行きたかっただけなのに、、、
ひどいと思わない?」
なにい?あの野郎、、、
俺のみずき様になんて失礼な!
「だからあ、、、あなた代わりに課長に頼んでくれる?
おねがい」
「もちろんです!俺はあなたにすべてをささげて
死ぬ覚悟はできています!
命に代えても有給休暇はとってきます!!!」
意気込んで返事をする俺だが
また、あやしい声が今度はオフィスに響き渡る。
「だまされてはいけません!」
おいおい、、、朋美かよ、、、ほんとにこいつは気味が悪いやつだ。
「それにしても勇者様、、、あなたはどうしてそこまで
この悪魔に肩入れするのですか?
この悪魔はどう見てもあなたを利用することしか考えてませんよ!
どうしてなんですか?」
俺は煙草に火をつけ、遠い眼をして窓の外を見た、、、
「みずきさんは、、、かあさん、、、俺の亡くなった母さんに
面影が少し似ていてね、、、
そういえばいつも怒られてばっかりだったなあ
母さんとの思い出は俺の宝物だよ、、、
はじめてみずきさんと出会って
俺にすごい得な話を勧めてくれて、、、、
北海道の土地を買うって話なんだけど
俺は金がなくって断ったときにみずきさんに
こう言われたんだ。
あなたはいつも目の前のチャンスを見送る人生でいいの?
あなたには一歩前に踏み出す勇気がないのね!
俺はショックで動けなかったよ、、、
確かに俺の人生、チャンスを見逃してばっかだった、、、
そしてこんなに親身になって怒ってくれたのは
俺の人生の中でかあさんとみずきさんだけだった、、、」
「要するにこいつはマザコンで怒られたいドMなの!!」
みずきが言うと、オフィスにいる全員が深くうなずく。
「、、、それって原野商法の勧誘だと思うんですけど、、、
まあそれは置いといて、、、
出たな!邪悪な悪魔め!!またまた十字架でお仕置きです!!」
朋美が十字架をかざす。
「なぜ?く、苦しい!!くそーおぼえてろ!!」
みずきさんはまた具合が悪くなったみたいだ。
くそ!それにしてもあの十字架を抱えた変態女め!
みずきさんと俺の仲を邪魔しやがって!
「おい!朋美!もう付きまとうのはやめてくれ!!
なんで君はことごとく俺とみずきさんの仲を邪魔するんだ!」
その言葉を聞いて、朋美は下を向いて顔を赤らめる。
「勇者様、、、あなたをお守りしたかったから、、、
す、、好きだから、、、」
「ふーん」
俺はまた仕事に戻る。
それにしても、具合の悪くなったみずきさんが心配だ、、、
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