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4-1 宝

なぜか野口はうつろな顔。



隣にいる朋美とも視線を合わせず

テレビばかり見ている。




テレビから流れるのは

くだらないお笑い番組。



その番組を野口は笑いもせずじっと見ている。




「なあ、朋美」



「なあに?」



朋美はポテチを食べながら

答える。



「朋美はギャグをまねするのが大好きだよなあ?」



「うん。ルネッサーンスとかいつも言ってるよ」




「そうだよなあ、、、」



野口はそう言うとテレビに映る映像を

指さしてこう言う。



「じゃあ、このギャグはマネしないのか?


なぜなんだ?結構有名だぞ!」



テレビからはおっぱい飲みたーいの?

という下品なギャグが流れている。



顔を赤らめる朋美。



「野口さん、、、これはできませんよ

なぜそんなこと言うんですか?」





野口は口元をゆがめにやりと笑って

朋美に向ってこう言い放った。




「ふふふふ、、、よくぞ聞いてくれました。



実は俺は朋美のおっぱいが飲みたいんだよおおお!

さあ!いえ!早くいえ!


そして今すぐ脱げ!ふえっへへへ!

僕赤ちゃんでちゅう!ちゅうちゅうすいたいよおおお」




どこからかガラガラとおしゃぶりを出してきた野口は

よだれをだらだら流しながら朋美へと迫る。



最初は困惑していた朋美だったが

静かにうなずくと胸元のボタンを一つ一つ外していく。




「ぐえっへへへへ!ちゅうちゅうすってやるぜええ!



ふしゅるしゅるるる」



野獣と化した野口が一歩また一歩と朋美に迫ってくと、、、









じりりりり

目覚ましの乾いたベルの音にガバッと飛び起きる野口。



息は荒く全身汗びっしょりだ。






恥ずかしい夢を見てしまった。

もしこんな夢を見ているなんて朋美に知れてしまったら、、、





「汗びしょびしょですよ。着替えここに置いときますね」




毛を逆立て、目を飛び出さんばかりに声のする方を見る野口。

そこには、朋美が立っていた。




夏なので当然薄着の朋美に思わず目をそらす野口。




「驚かしてごめんなさい。カギが開いていたんで

入ってきてしまいました。



それにしても不用心ですよ!戸じまりはしっかりとしてくださいね!



それと、、、」





「それと、なんだ?」



野口は不機嫌そうに聞く。






「申し訳ないんですけど、、、私赤ちゃんがいないので

おっぱい出ないんです。



出るようになったら必ず召し上がってもらいますから、、、



ごめんなさい、寝言聞いてしまいました」





それを聞いた野口はまるで犬のうんこを踏んでしまった

小学生のような表情。




眼には涙をいっぱいためている。





「朋美、、、聞いていたのかあ、、」




切ない声で朋美に聞く野口。





「私のでよかったら飲む?

20年前に朋美にあげて以来だから出るかわかんないけど」




またまた毛を逆立て切ない表情で声のする方を見ると

朋美の横にはお母さんの姿がある。



般若のような顔をしたお母さんはなおも言葉を続ける。




「あんたたちが、対決をすっぽかした日の夜から

お父さんの姿が消えてしまったのよねえ!



この紙切れ一枚を残して!



あんたお父さんと変態仲間でしょ?

なんか知らないの?」





当然野口には身に覚えがない。

そして、お父さんの残した紙切れを読んでみる。





「お母さんへ




お父さんは宝の地図を手に入れました!!

やっほー!!



んでもって宝を探す旅に出ますので

あとはよろしく!



じゃあね!」






宝って、、、

今時、、、





「野口さん!いえ、勇者様!

行方不明のお父さんを探す旅に出てくれませんか?」




野口は懇願する朋美の胸に光る十字架を見つめながら

複雑な気持ちでそこに立ちつくしていた。










おっぱいが宝を探せと言っている、、、、、、




野口はぽつりとつぶやいた。






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