2-5 最多記録!!
今日も天使と悪魔は戦いを繰り広げている。
俺の部屋で。
その横ではファロスがトレーニングをし
うめちゃんがリモコンを振り回している。
俺の部屋でえ!!!!!!
「聞いてください野口!
1人暮らしの冴えない男の家に突然現れる
同居人の人数がラブコメ史上最多を記録したらしいですよ!
今度ギネスに申請しときますね!」
「同居人が5人も現れたらもはやラブコメじゃねえ!!」
ファロスが言うたわごとをツッコミながら
俺は一つの思いが頭の中を駆け回っていた。
この状況は異常だ、、、という思いが。
「でも、、、野口、、、
あなたとはしばらくお別れしなければなりません、、、
実はUFCに行ってこようと思いまして、、、」
ファロスは深刻な顔をして言う。
「ええ!あのオクタゴンで繰り広げられる
究極格闘技に参戦するのか!
よし!行って殺されてこい!」
「え?日本の銀行はそんなに危険なんですか?
こわいですねえ」
「、、、、、、、、、、ってそれUFJ!!」
極度につまらないボケをかわしつつ俺は対策を練る。
とにかくこの状況を何とか打開しなければいけない。
ワンルームに5人と一匹。
プライベートなんてあったもんじゃない。
そうだ!みんなにこの状況がいかに異常かを
説明すれば分かってもらえるかもしれない!
みんな大人なんだから話せばわかるはずだ。
「みんな!聞いてくれ!」
俺は大声を張り上げると一斉に振り向くみんな。
「みんな!この状況は異常だとは思わないか?
狭い部屋に5人がひしめきあい暮らしているんだ!
これだけでも異常なのに
しかも男と女どうしが一つ屋根の下にいる!
これはまずいんじゃないのか!
ここはお互い大人なんだし
ここから出て行って、自分の暮らしをするのが筋というもんじゃないか!」
皆俺の言葉に黙ってうなずいている。
まあ俺のスピーチ力を持ってすればたやすいことだが、、、
「さあ!みんな出て行って自分の力で生きていくんだ!!」
俺の言葉にうなずいたみんなはみんないっせいに返事をする。
「いや!!」
「だって楽しいんだもーん!!」
みんなはそう言うと、また戦いを繰り広げ
リモコンを振り回す、、、
俺の部屋で、、、俺の部屋でえええ!!
俺はたぶん呪われている。
悪魔よ、
俺の過酷な運命をプロデュースする悪魔よ。
こんな回りくどい苦しめ方をするぐらいなら
いっそひと思いにやってくれ、、、
俺はこの部屋で繰り広げられている
悲劇的光景を見ながらそう思った。
雨、、、