14 うめちゃんとみずき
日本に帰ってきたら桜が咲いていた。
春になってた。
帰る飛行機の中で悪の帝王がずっとみずきの隣で
「殺す!絶対殺す!裏切り者は絶対殺す!」
と言い続けていたためだろうか。
みずきの顔色が土色だ。
朋美は朋美で何を勘違いしたのか
俺からぴったりとくっついて離れない。
旅先で俺は血迷っていたのだろう。
日本に帰って見てみると、朋美はやっぱり変態のままだった。
「私、、、家に帰る、、、疲れた、、、」
生気のない声でみずきが言う。
悪の帝王うめちゃんの手を引いてとぼとぼと
タクシー乗り場へと歩いて行く。
「みずきよ、帰ったらこの悪の帝王に
ハンバーグを作るのだ。
付け合わせのにんじんは要らんぞ。
悪の帝王はにんじんは食べられないのだ。
ふはははははは」
「わかったわよ、、、それよりも
宿題ちゃんとやりなさいよ!
うめちゃん!じゃなかった悪の帝王様!」
???
なんだこの違和感は、、、
なんだかまるで、、、
「ふははは!
この私は人間界を支配するために
このバカ女の体内より生まれ出たのだ!」
「馬鹿とは何よ!後でお尻ぺんぺん決定!」
、、、え?
もしかしてうめちゃんって
「私の子供。私シングルマザーなの。」
ええ??
「み、みずきさんの子供、、、
みずきさんって、、、処女じゃなかったんだああ!!!」
「こんな、汚れた処女がいるわけないじゃないですか、、、
勇者様の眼はやっぱり節穴ですね、、、」
朋美は呆れた顔で野口に言う。
「そういわれれば似てますねえ
悪な所もそっくりです。
みずきさん!
あなたも人の親なら、子供の手本にならなければいけません。
これに懲りて悪いことはもうやめて、、、」
「うるさいやい!
悪は止められないのよ!
えーい!空港の壁にガムつけちゃえ!」
「つけちゃえ!」
そう言うと、みずきとうめちゃんは
ガムを壁になすりつけて走って逃げて行った。
、、、
大丈夫だろうか。
俺は一人悩んでいた。
俺はうめちゃんに好かれるだろうか。
それに、俺はうめちゃんをちゃんと育てることができるだろうか、、、
みずきさんとおれとの中にまた新たな障害が立ちはだかる。
うーん!大変だ!
そう考えながら俺はくっついて離れない朋美と
腕を組みながら空港を後にしたのだった。
ギブアップはせんぞ!
書き続ける!