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13 ちょっとまじめ

異国の町並み。

その中をあるく朋美。



いつもの日常とは全くかけ離れた風景が

野口の前に広がる。



そういえば朋美もいつもとは違うように見える。

野口にはそう見えた。明らかに。





「外国旅行のこの開放感を味わったら病みつきになるって

本当ですねえ。



だって目の前に広がるのは

混じりっ気なし、純度100パーセントの



非日常ですから。



日ごろ自分が悩んでいることと

完全に切り離されるのは、ここにいる間だけですけれど。



野口さん、旅っていいですね!」





朋美が野口に微笑みかける。

そういえば。朋美が野口のことを勇者様と呼んでいない。




「ああ、そうだな」



「所で、、、私があなたのことを勇者様と呼ぶのは

何故だかわかりますか?」




「ゲームおたくだからだろ?」




「違います、、、



あなたが、私を守ってくれる



世の中の苦しみすべてから救ってくれる

私だけの勇者になってほしいなって考えたからです、、、」



下を向いて赤い顔。

十字架を手でいじくり倒している。



「でも、、、あなたはみずきさんが好き。

私のことは見てもくれない。



野口さん。



私は自分でもちょっと変わってるって自覚はしています。

でも、、私、魅力ないでしょうか!!



私今、勇気を振り絞って言ってるんですよ!本当に!



どうですか!野口さん!」




「、、、、、考えとく」




街並みを眺めながら野口は気のない返事。




そしてちらっと朋美を見る。



隣には今、勇気を振り絞った

若い女性が赤い顔をしながら歩いている。



地中海を見下ろすこの街並みを歩く彼女。

白い服に漆黒の長い髪。



まるで彼女はこの美しい風景の一部のようだ。



そして、、、



彼女がいなければ、本当にこの街並みは

美しいと感じられるのだろうか。



彼女がいるからこそ



この街並みは美しいと感じたんじゃないのか?



そう野口は思った。




「じゃあ、、、先行きますね!」



走り出す彼女。



「ちょっと待って!」



振り向く朋美。

やけに印象的な色白の顔。



野口はうつむき加減、少し口をとがらす。







「もう少し、、、もう少し一緒に歩かないか?」




「、、、うん」






そして2人は再び歩き出した。

非日常の風景の中を。







2人はいつの間にか手をつないでいた。




あれれ

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