ネトゲでシナリオのネタを探すことにしました。④
――さて、突然だがギャルゲーに必要なものとは何かご存じだろうか?
それは、女の子との会話である。
女の子との会話がないギャルゲーは、この世に存在しないといってもいい。兄より優れた弟も存在しない。
俺は、アルテミス嬢との会話を吐息すら忘れないよう脳裏に刻む。
変態じゃないもん! し、仕事なんだから勘違いしないでよね!
「それで、オマリーさん。まずは何をしたらいいんですか?」
自分に言い訳していると、アルテミスが話してきた。
「えっとですね、ひとまず装備を揃えましょうか~」
本当は半裸でオールオッケーなのだが、涙を呑んで諦めた。
本心を偽って紳士ぶるのは恋愛の鉄則である。この前、絶対に成功する婚活で読んだ。
「それじゃ、私についてきてください」
俺は武器屋に向かって大通りを歩いていく。
「わかりました!」
アルテミスは俺の後ろをついていく。
本当は後ろで美尻を見てたいのだが、歯ぎしりして諦めた。
本心を偽って紳士ぶるのは恋愛の鉄則である。この前、絶対に成功する婚活で読んだ。
しばらく道なりに進んでいくと、煙をもっくもくさせている建物にたどり着く。
とんてんかんとNPCの鍛冶屋たちが槌を振り下ろしている。
店番をするのは看板娘のミココちゃんである。見てると心が『ざわ…ざわ…』する。
顔中冷や汗だらけになっているだろうアルテミスに話しかける。
「ここで新米冒険者用の装備を買いましょう。アルテミスさんは職業なんですか?」
キャラメイク時に最初の職業は決めているはずだ。
「私は戦士ですよ」
「それじゃあ近接武器と鎧ですね。ガンガン戦いたいなら両手剣や刀がお勧めです」
「じゃあ、刀にしてみます!」
これで武器はオッケーっと。あとは鎧だな。
「服はどれが良いですか?」
アルテミスが尋ねてくる。なんかラブコメデート展開きた! 服を選んでほしいだなんて、この子俺に気があるんじゃね? 『このビキニアーマー着てみろよ』『えっ、でも……ちょっと恥ずかしいナ☆』的なみたいな展開を希望します!
純情な感情が妄想で暴走してしまった。今一度、冷静になってみよう。
「この中だと、ビキニアーマーが一番使いやすいですよ」
……いやいや、いたって冷静である。単純に防御力が一番高いのである。
「じゃあ、それにしちゃいますね!」
アルテミスは悩みもせずに決めてしまった。なんか悪い男にすぐ騙されそうである。俺が守ってあげなくちゃ。ずっと見ているよ、フフフ。
防具をつけてもアルテミス嬢の露出度はあまり変わらなかった。アルテミスさんは変態さんですね。私が更生しないといけません。ずっと見ていますよ、ククク…
「それじゃあ装備も揃ったし、討伐に行きましょうか!」
俺の問いかけに、アルテミスが答える。
「いよいよですね! オマリーさん、よろしくお願いします!」
「任せてください! よろしくお願いします!」
さあ、冒険である。