表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/32

ネトゲでシナリオのネタを探すことにしました。③

 オープニングが流れるのをすっとばして、ログインする。


 赤レコでは、ゲームを始めると必ず中央の街に転送されるようになっている。

 石造りの大通りに沿うように露店が並んでいて、NPCキャラや他のプレイヤーが素材やアイテムを売ったりしている。

 大通りの先にある大広場に白銀のプレートアーマーを着た騎士が立っている。俺のキャラだ。

 右手には突撃槍、左手に体を覆うほどの盾を携えている。

 騎士は赤レコの職業の中では、攻撃と防御のバランスが良く、味方のステータスを上げる補助的な魔法も使える万能キャラだ。

 頭の上にキャラネームが『オマリー』と表示されている。

 ファーストネームは恐らくトムだろう。

 ログインが完了すると、チャットルームのポップアップがピコンとなる。

「こん~」

 フレンドの『パチョレック』だ。

「こんちゃんす」

 カタカタと返事をする。

「これから一緒にどう?」

 プレイのお誘いをされてしまった。


 いつもならこのままノコノコついて行くのだが、今回はそんなことをしている場合ではない。

「ごめんよ、今日はちょっと用事があって」

「そっかぁ、残念! またよろしく~」

「あいあい~」

 すまんな、パチョレック。また逢う日まで。


 パチョレックとの会話を終えた後、俺はひたすら大広場で立ち尽くし、半裸の女の子探しに従事していた。

 なぜ半裸なのかというと、装備をつけていないキャラが転送されて来たら、初めてプレイを始めた可能性が高いからだ。

 半裸のお姉ちゃんが現れたら、『お姉ちゃん可愛いねぇ、一緒に今から遊ばないかいグへへ』と声をかける作戦である。もはや完全に変態である。犯罪者になる前に早く捕まえてほしい。


 どうやって話しかけようか考えていると、目の前に半裸の女の子が登場した。

 赤色の長い髪に、インナーしか纏っていない身体は非の打ちどころがない抜群のスタイルだった。まあ、ゲームなのでみんなそんなもんである。

 操作になれていないのか、位置を変えずにぐるんぐるん回り続ける赤毛の女の子に声をかける。頭上には『アルテミス』とある。彼女の名前だろう。

「アルテミスさん、こんにちは」

 声をかけるとぐるぐる回っていたアルテミス嬢はピタッと動きを止めた。


 しばし反応を待つが、返事がない。

 これはダメかしらと、ポテチをポリポリしていたら、ポップアップが表示された。


「こんにちは!」

 おお、返事あった。ちょっと嬉しい。

 さらに連続でポップアップがでる。

「すみません、ネットゲーム初めてで、返事の打ち方に手間取っちゃいました」

 まさかのネトゲ初心者プレイヤーだった。こちらも返事を打つ。

「そうだったんですね。いきなり声をかけてすみません。もしよかったら、一緒にプレイしませんか?」

 ポップアップがすぐに表示される。

「全然なにをするかもわかってないですが、それでもよければよろしくお願いしますっ!」

 おお、なんか可愛いぞ! 年甲斐もなくドキドキしてきました。

「ありがとうございます! こちらこそよろしくお願いします!」

 半裸の姉ちゃん、アルテミスが仲間になった。


 俺のラブコメ(というかシナリオを書くためのネタ探し)はここに始まった!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ