ネトゲでシナリオのネタを探すことにしました。②
ドアを開けて、電気のスイッチをぱちり。
一人暮らしにはやや広いワンルームがこんにちはする。
俺は、テレビの前にある折り畳みテーブルにラノベを置き、カバンをソファに放り投げた。
ちなみに、カバンの中には何も入っていない。ペランペランだ。
ゲーム会社に勤めている俺は、一応、機密が漏えいしそうな情報は持ち帰らないようにしてる。
というより、その手のことは社長がめっちゃ厳しい。たまに抜き打ちチェックあるし。
ホント、コンプライアンス大事!
俺は冷蔵庫を開けてお茶を取り出すと、横にあるお菓子ストッカーからポテチを取り出す。
今日はうす塩味にするか。
ポテチの袋をつかみながらベッド横のパソコンチェアに腰かけ、パソコンの電源をポチリ。
立ち上がるのを待っている間に袋を開けてポリポリとつまみだす。
さて、今日のミッションを確認。
――それは、いつもやってるネトゲ『赤シックレコード』の新規プレイヤーに声かけて、手伝っていくうちに仲良くなる様子を記録することだ。
『赤シックレコード』略して赤レコは最近テレビでCMがバンバン放映されている基本無料のオンラインアクションゲームだ。
シングルプレイでも大人数でも遊べるし、キャラクター職業が豊富で好みに合わせた戦闘スタイルが選択できるのが特徴である。
ファンタジー色の強い世界観が美麗CGで再現されているのも人気のひとつだ。
ドラゴンやらデーモンやらのモンスターを退治し、『レコード』に記録したデータから素材を生成し、それをアイテムや武器に変えて、キャラを育てていく。
ゲーム内で生活をしていく中で、他プレイヤーのキャラと結婚することもできるので、シナリオのネタ作りには持ってこいだ。
まずは女キャラのプレイヤーへ接触。俺は男キャラでプレイをしているからだ。
以前は目の保養のために女キャラを使っていたが、一緒にプレイしてたフレンドにガチで言い寄られて以来、怖くなったのでやめた。なので、俺は外も中もオトコノコである。
どうせなら、声をかけるプレイヤーの中の人は女の子が良いと思うが、この際ネカマだろうがなんだろうが問題ない。
自分が嫌になったことを人に対してやろうとするのだから、我ながらとんだ屑野郎である。
俺は期待に胸を膨らませてゲームを起動させた。