表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/32

三日目、シナリオの進みがやばいです③

 自席に戻ると、蛍池はガチ睡眠状態だった。

 半開きの口からヨダレが溢れ出ている始末である。


 ちょっとにやけ顔になっててなんか気持ち悪い。一体なんの夢見てんだか。


 本当なら、可愛い後輩キューティールナの寝顔を肴に、寝息を全力深呼吸で吸い込む合間にコーヒーを嗜む予定だったのだが、こいつの幸せそうな顔を見てるとだんだん腹が立ってきた。

 心なしか淹れたてのコーヒーも不味い。


 椅子に座りながら、なんか悪戯してやれないものかと蛍池の口元に光るヨダレを見る。

 これをツインテールの先につけたら、墨をつけた毛筆みたいになりそう。

 よし、今回の罰はヨダレ付きのツインテールを鼻の穴に突っ込んでやろう。真っ赤になって怒るルナルナの顔が見物である。

 寝ている蛍池のツインテールに手を伸ばす。なんだかDOKI☆DOKIしちゃう!


 ちなみに、会社の同僚や後輩など、女子社員の髪の毛を無断で触るような行為は、社内で無用なトラブルを招くだけでなく、最悪の場合、訴訟に発展する可能性もありますので絶対にやめましょう! セクハラダメ絶対!


 うなだれるような状態のツインテールに触れてみた。めっちゃサラサラしている。何これめっちゃ気持ちいい。ヤバい。

 蛍池の髪をプロペラの如くぶるんぶるん回してみる。シャンプーの香りが本当素敵であります。顔を埋めてモフモフしたい!


「ぅう~ん……」

 蛍池の上半身が少し動いた。

 ヤバい! 瑠奈ちゃん目覚めちゃうよ! どうしよどうしよ?

 俺は焦りのあまり、ツインテールをさらに激しく回していく。た、楽しい~!


「……もう、まぁた私の髪の毛、触って……ちょっと、だけですよぉ……」

 なんか聞いてはならない寝言が聞こえた。俺の燃え上がるテンションは急激に冷めていく。


 なんだよぅ! 寝不足なのって彼氏とニャンニャンしてただけじゃニャいかよ!

 ルナルナはみんなのアイドルではなかったのです。たった一人の、どこぞの馬の骨野郎だけのアイドルだったのです。恋バナなんて無いって言ってたのに! 嘘つき! この嘘つき!


 なんだろう、この腹の底からこみ上げてくるドス黒い感情は。

 恨み、妬み、嫉み。導き出された答えはただ一つである。

『先輩様を差し置いて恋人なんざ作ってんじゃねぇ』

 刑執行である。まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!


 俺の右手がルナルナの頭上に置かれる。

 ガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシ

 思いっきり掻いてやった。ふう、執行完了っと。


 自慢のツインテールもボサボサになったルナルナ嬢がゆらりと起き上がる。

「おっはよ~ん、蛍池ちゃんっ! もうすぐ始業時間だよ~ん!」

 片手を上げて爽やかスマイルで挨拶をするが、蛍池はただ冷たい眼差しを俺に向けるだけだ。


 えっと、ルナちゃん怖いよ? ツインテールが逆立ってバッファローマンみたいになってるよ?

 おもむろに、バッファロー蛍池は静かに言葉を発した。

「今すぐ私の前から消えろ、この黴菌ばいきん野郎」


 次の瞬間、俺の顔面に鉄の拳がクリーンヒットした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ