シナリオ作成用の俺の嫁が可愛すぎました。⑦
酒場で話し始めて一時間が過ぎた。
「アルルって、なんで戦士にしたの?」
「刀とか振り回してるほうが楽しいかと思って! ラヴィはなんで狩人を?」
ラヴィは金色に輝くショートカットをふぁっさぁと揺らして答える。
「やっぱり、攻撃の当たらない場所から一方的に攻撃できるのがいいんよね~。死んじゃう確率も高いしねぇ」
「え、そんなに死ぬものなの?」
アルルの問いかけに、ラヴィがクスクスと肩を揺らす。なんかわざとらしいジェスチャーがうざいのであります。
「それは、オマリーがアルルをがっちり守ってるからよ~。お姉さん微笑ましいんよ」
いちっにっさんっしっ、アルルそっく! あなたのアルルをアルルそっく!
そりゃ、仮にもヒロイン格であるアルテミス嬢を、主人公が守り切れないなんてあってはならないからな。この前も守るって約束したし。
「つっても、まだ中級クラスのモンスターしか相手にしてないかんな? 上級モンスターを相手にし始めたら、俺もそこそこやばくなってくるし」
この小一時間ほどで、かなり打ち解けて話が出来るようになってきた。
俺の言葉遣いが乱暴になってきたのでアルルが怖がらないかと心配したが、今のところ大丈夫なようだ。
丁寧な言葉遣いを続けるのもぶっちゃけ限界に近かったので、正直ありがたい。
このままだとストレスで胃に風穴開くところだった。
会社以外でこんなにストレス溜まるとかどうなってんの? 世の中間違ってる。
「オマリー、いつもありがとう。私もっと強くなるから!」
敬語じゃなくなってもアルルは健気な良い娘だった。嫁にしたい。
ラヴィは……まあ、どうでもいいか。
「じゃぁ、次こそは山岳地帯の先に到達やね!」
「だな。ラヴィは適当に頑張ってくれ。アルルは俺が全力でフォローするから!」
「ちょっとちょっと、私とアルルで態度違いすぎないかな? 差別いくない!」
ラヴィがぷんすかこんすかと抗議してきた。
「むしろラヴィの腕を信頼してるからこそ、俺が心配する必要ないんだって。あー、たすかるわー。いうことないわー」
「棒読みやめい!」
「私も早く二人を助けられるようになりたいなぁ」
「アルルや、俺に追いつくのはまだ早い。とりあえず中級クラスと一人で戦えるようになろうな? まぁ、職業の差もあるし、赤レコは基本パーティプレイだから、今後はアルルがいるだけで凄く助かるようになるよ」
「だねだね☆」
そうだ、そこそこ戦えるようになれば赤レコはもっと面白くなるはずなんだ。
なんつーの、戦略の幅が増える的な。連携がしっかりしてきたら、多少装備が貧弱でも強いモンスターを倒せるようになってくるし。
今、アルルにはやめられちゃ困る。せっかくこれから本格的にシナリオ書けそうなんだ。
ゲームに慣れるまで甘やかして甘やかして甘やかしてやる。