シナリオ作成用の俺の嫁が可愛すぎました。①
――二日目。
自宅に戻ってきた俺はさっそく『赤レコ』にログインする。
インしてからすぐにログのポップアップが表示される。
「こんにちは!」
赤髪の女戦士、アルテミスことアルちゃんだ。
「こんちゃんす」
カタカタっと返事を打つ
「こんちゃんす?」
あ、思わずいつもの感じで挨拶してしまった。一応説明しておくか。めんどくさいし恥ずかしいな。
「こんにちはっていう意味の言葉ですよ~。特に深い意味はないので気にしないでください」
ペコリと会釈しておく。納得してくれたらしいアルちゃんも会釈で返す。
「今日も一緒に良いですか?」
アルちゃんからお誘いがある。断る理由はない。むしろ一緒にプレイできないと俺の仕事的に困る。
「勿論ですよ! よろしくお願いします!」
「良かった! よろしくお願いします!」
アルちゃんが、再度ペコリとお辞儀をする。うむ、くるしゅうない。
「そういえば、前回手に入れたデータの生成は終わってますか?」
赤レコでは、倒したモンスターのデータをレコードに記録し、街で素材の生成を行わないといけない。
前回のプレイで赤目黒龍を倒した後、街に帰ってすぐに落ちたので、アルテミスがまだ生成してないんじゃないかと思ったわけだ。その後すぐに生成しているかもしれないが、一応聞いてみる。まさに優しさの塊である。
「まだ、生成してないですね。……すみませんオマリーさん、生成の仕方を教えてもらっても良いですか?」
おやおや、アルちゃんてば勘違いしてもらっては困る。
質問すれば返ってくるのが当たり前か……? 大人は質問に答えたりしない、それが基本だっ……
ネットの厳しさを知らないアルテミス嬢がググれカスと言われる前に教えてやらねばならぬ。
「オッケーです。それじゃ、生成屋に行きましょう」
オマリーがぐぐっとサムズアップする。全く、優しいおじさんである。
ひとまず生成屋をめざすことにした。生成屋は鍛冶屋の横にある。生成してすぐに武器や防具を作成できる優しい配置だ。はいそこ! じゃあ鍛冶屋で生成させろよとか言わない!
生成屋に入ると、痩せ型のローブを着た男のNPCキャラが出迎える。
店内にはレコードを読み取って素材生成する機械が複数置いてある。なんかDJっぽい設備だ。レコードをスクラッチとかしたらデータの中身が変わりそうである。
「このローブの人に話しかけて、『レコードデータの全生成』を選んで下さい。そしたら勝手に素材になりますんで~」
アルテミスに生成の仕方をレクチャーする。
「わかりましたっ! やってみますね」
俺に向けていた体を生成屋に向けて停止した。